2019年から開催されている関西演劇祭。2021年の実行委員長に、吉岡里帆さんが就任されたことが発表されました。実は、学生時代に関西の小劇場で活動されていたという吉岡里帆さん。記者会見では、演劇ならではの魅力について熱くコメントされました。また、フェスティバルディレクター・板尾創路さん、スペシャルサポーターの西田シャトナーさん(劇作家)、行定勲さん(映画監督)、一色隆司さん(NHKエンタープライズ)も会見に登場されました。

厳選された10劇団がオンライン&オフラインで登場する関西演劇祭

有名無名を問わず、選ばれた10劇団が登場する関西演劇祭。11月26日・27日はオンライン配信も実施されます。期間中、各劇団3回の上演を予定。特徴的なのは、45分間という見やすい短めの作品であることと、実行委員長・吉岡里帆さんやフェスティバルディレクター・板尾創路さんらが作品上演後に劇団と直接会話する“ティーチイン”というシステム。なんと観客から質問することもでき、“ティーチイン”の内容を元に次の上演が変わっていくこともあるそう。

実行委員長の吉岡里帆さんは、「心から思っていることを素直に伝えたい。剥き出しに演劇と向き合っている人と出会いたいです」と意気込みを語りました。スペシャルサポーターを務める行定勲さんは、「ティーチインによって作品が変化していくのが面白い。完成された映画と違って演劇は一生に一回しかない瞬間。クタクタになる程全力で演じたら、2回目は疲れて同じクオリティにならないこともある。3回全て見ていると変化を感じられて面白いと思います」とコメント。行定さんご自身も、スケジュール都合上全て見られなかった劇団があると、あとで後悔することが多かったのだとか。

幕が上がると世界が前に広がっていく

学生時代、関西の小劇場で活動されていた吉岡里帆さん。お客さんとの距離の近さは、まるで「秘密基地のような感覚」だと語りました。そもそも俳優を目指すきっかけの1つが、演劇を見たことだったそう。

「幕が上がると世界が前に広がっていく感覚を今でも鮮明に覚えています。その場でしか見られないナマモノの演劇は、そこでしか感じられない価値がある。演劇の面白さを知らない方に知ってもらいたいという気持ちが強いです」

演劇祭が“普通”にある時代に向かって

2019年に開始した関西演劇祭。昨年はコロナ禍の影響を大きく受ける形となりました。スペシャルサポーターの西田シャトナーさん(劇作家)さんは、「まだコロナ禍が収まっているわけではないですが、きっと未来まで演劇が続いていくんだという気配の中での開催を実感しています。演劇祭が普通にある時代に向かって、今年の演劇祭を作っていきたい」と意気込みを語りました。

フェスティバルディレクター・板尾創路さんは、「真剣ながら姑息な手段で目立とうとする劇団が印象に残ったりする(笑)。様々な劇団が集まってこその演劇祭だと思うので、たくさんの方に配信・劇場で観ていただきたい」と演劇祭ならではの雰囲気を魅力に挙げました。参加団体の詳細は公式HPをご確認ください。

Yurika

個人的には、コロナ禍のリモートワーク中にお父さんが宗教団体に魂を売ってしまうという劇団レトルト内閣の『魂を高価買取いたします』と、公園に住むホームレスと町の人の交流を描く試験管ベビーの『ホームレスホーム』が気になりました。ティーチインでどんな議論が飛び交うのかも楽しみなポイント。皆さんもぜひ、気になる劇団を見つけてみてください。