華麗なドレスやハイヒールで観客を魅了するパフォーマー、「ドラァグクイーン」。近年では人気テレビ番組などの影響もあり、ドラァグクイーンという職業は広く知られるようになりました。アマゾンプライムで配信中のミュージカル『ジェイミー』は、イギリスの男子高校生がドラァグクイーンになるまでの軌跡を描いています。
あらすじ
ジェイミーは、イギリスの小さな田舎町に住む男子高校生。華々しいドラァグクイーンを夢見る彼は、進路相談の授業もうわのそらで空想に勤しみます。
テスト、進学、就職…。無限の可能性が広がる未来を前に、何かと落ち着かない最後の高校生活。ジェイミーは周りの同級生や家族を巻き込みながら、卒業前の最大のイベントであるプロム、そしてその先の未来に向かって力強く踏み出します。
実話から舞台、そして待望の映画化へ
2011年、イギリスのBBC放送局はジェイミー・キャンベルさんのドキュメンタリーを制作し、彼が高校生活を通してドラァグクイーンとしてのアイデンティティを確立するまでの軌跡を放送しました。そのドキュメンタリーを基に作られたのがミュージカル『ジェイミー』。2017年にウェストエンドで上演開始され、2021年8月には日本でも森崎ウィンさん・高橋颯さんのWキャストで上演されるなど、異例の大ヒットとなりました。
そして今回、アマゾンプライムオリジナル作品として制作されたのが『ジェイミー』のミュージカル映画版。舞台版のサウンドトラックを踏襲しつつ、オリジナル曲も追加されています。
映画版のオリジナル曲 “This Was Me”
映画版のために新たに書き下ろされたのが、伝説のドラァグクイーン、ロコ・シャネルが語る “This Was Me”。舞台版ではロコ・シャネルの身の上話が語られる場面ですが、 “This Was Me”ではゲイコミュニティ全体が乗り越えてきたエイズの苦難を伝えるシーンに変更されています。フレディ・マーキュリーの死、エイズ患者差別、ダイアナ妃の社会活動など、実際の映像を交えたモンタージュにより、舞台版よりも一層社会性を帯びた作品となっています。
また、舞台版では明かされずに終わった、ジェイミーのステージデビューの一部始終を見ることができるのも映画版の魅力のひとつ。こちらもオリジナルの演出となっており、ジェイミーの同級生たちが見た光景を私たちも共有できるのが嬉しいポイントです。
筆者は、特にジェイミー役を演じたマックス・ハーウッドさんの妖艶な美しさに見惚れてしまいました。本作がなんと映画デビューだそうですが、これからの活動に期待大です。