演劇はナマモノなので、トラブルはつきものです。そんな時でも、やり抜く、“Show Must Go On”の精神とは?作品に触れながら解説していきます。
舞台人の鉄則“Show Must Go On”
“Show Must Go On”は、英語圏のショービジネスで使われる慣用句で、「幕が上がったら、何があっても最後まで続けなくてはならない」という意味。ショービジネスで働く人々はこの言葉を胸に作品作りに励み、時に楽曲名やプロジェクト名、作中のセリフとして登場します。Queenの楽曲「The Show Must Go On」はフレディが死期迫る中、この覚悟で作った曲として有名です。
また、世界中のエンターテイメント業界が新型コロナウイルスにより大打撃を受けた2021年にはイギリス・ロンドンの劇場街ウエストエンドで「The Show Must Go On! Live」というプロジェクトが行われました。ショーは続けなくなればならない!をキーワードに、ウエストエンドの再開を記念して、『ライオンキング 』や『ウィキッド』『オペラ座の怪人』など、18演目のカンパニーのキャストが集結。名場面のパフォーマンスが行われ、YouTubeで世界中に配信されました。また、コンサートグッズの収益は演劇関係者に寄付され、まさにショーの幕を上げ続けるためのイベントになりました。
ジャニーズで受け継がれる“Show Must Go On”
“Show Must Go On”は故・ジャニー喜多川社長の口癖でもありました。(ジャニーズ誕生秘話はこちら)その意志が継がれている作品が、堂本光一さんが座長を務める『SHOCK』です。2000年に『MILLENNIUM SHOCK』として初演が上演されて以来、22年間毎年上演されています。
オフ・ブロードウェイでブロードウェイの大劇場を目指し日々奮闘する主人公コウイチとカンパニーの仲間たち。舞台でトラブルが起きても“Show Must Go On”を合言葉に、ショーを続けるコウイチの信念が表れた作品です。今年は『Endless SHOCK -Eternal-』が4月10日(日)〜5月31日(火)で上演予定。他にもジャニワの愛称で親しまれている『ジャニーズワールド』など、ジャニーズ主催の舞台全体でこの精神が大切にされ、受け継がれています。
抱腹絶倒?!ドタバタコメディの幕を降ろすな!
他には、三谷幸喜さんを中心に旗揚げした伝説の演劇集団、東京サンシャインボーイズも『ショウ・マスト・ゴー・オン 幕を降ろすな』という作品を上演しています。舞台は、本番前からトラブル続きの『マクベス』公演の舞台裏。しかし、幕は開き、舞台はどんどん進行していきます。「一度開いた幕は降ろすな!」の精神で、無事上演を終えられるのか、というストーリー。ノンストップコメディの傑作です。『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督が一番影響を受けたと明言している作品でもあります。
1991年に初演、1994年に再演されている人気作品。2022年11月〜12月には、作・演出 三谷幸喜さんにて、『 ショウ・マスト・ゴー・オン 』の上演決定が発表されています。こちらも詳細が分かり次第、演劇メディアAudienceでお伝えしていきます!
どんな時でも焦らずに対応する舞台人たち。根底に、この“Show Must Go On”の精神を持っているからなのかもしれません。