ニール・サイモンによるラブ・コメディの名作『裸足で散歩』。本作で主人公の新婚夫婦を演じており、アーティスト活動もしている加藤和樹さんと高田夏帆さんによる、テーマ曲「君と僕」も発表されました。東京・有楽町よみうりホールでプレビュー公演前に行われた、ゲネプロと取材会リポートをお届けします。作品とテーマ曲についてはこちら

喜劇作家ニール・サイモンによる傑作ラブ・コメディ

本作『裸足で散歩』の原作者は、喜劇作家として知られるニール・サイモン。代表作に宝塚歌劇団でも上演された『おかしな2人』や『第二章』、三谷幸喜さんによって演出された『23階の笑い』などがあり、日本でも親しまれています。

『裸足で散歩』は、新婚夫婦と新居のアパートに暮らす変わり者の住民たちが繰り広げるニール・サイモンによる、心温まるラブコメディの名作。1963年にブロードウェイで初演、1967年には映画が公開されるなど、世界中の人から愛されています。

物語の舞台は、寒い2月のニューヨークにある古いアパート。天窓には穴が開き、暖房も壊れています。エレベーターもなく、息切れするほど長い階段を登った最上階に、新婚のポールとコリーが引っ越してきます。アパートには変わった住人がたくさん住んでいて、その中でも 1 番の変わり者は屋根裏部屋に住むヴィクター・ヴェラスコ。妻・コリーはここでの生活をすごく気に入り楽しんでいますが、真面目な弁護士の夫・ポールは変わり者ばかりのアパートに馴染めずにいました。

写真:岡千里

ある日コリーは、母であるバンクス夫人との食事にヴェラスコを誘い、食事を楽しみました。しかし、みんなが帰った後、2 人きりになったポールとコリーは喧嘩をしてしまいます…。ポールとコリーの新婚生活はどうなってしまうのか!?正反対な新婚夫婦がすれ違い、支え合う物語です。

写真:岡千里

当時のニューヨークは、ビジネスに意欲を持って来た人、華やかさに惹かれて来た人など様々な人々が暮らしていました。主人公のポリーとコリーが新婚生活を送る古いアパートでも、様々な職業や身分の住人たちが交わり合います。登場人物は少ないですが、全員が個性的なキャラクターたち。登場するたびに次は何が起こるのか楽しみになるドタバタコメディーとなっています。

初舞台、初めての役柄、初コメディ。役者それぞれの「初」が詰まった公演

ゲネプロ前に行われた取材会には、加藤和樹さん、高田夏帆さん、本間ひとしさん、戸田恵子さん、松尾貴史さんが登壇。初めての舞台や、初めて演じる役柄についてなど、役者たちの「初」への想いが語られました。

ポールを演じる加藤和樹さんは、ミュージカルではない作品、さらにコメディ作品への出演は初めて。しかし、コメディとは言え、ポールは真面目で堅物なキャラクターであることに触れ、ポールが周りの登場人物たちに巻き込まれていく様が面白いため、「ポールとして物語に没入したい」と意気込みを語りました。

写真:岡千里

堅物の弁護士・ポールですが、結婚6日目と新婚でコリーを愛している様子がとてもキュート。夫婦喧嘩へと発展してしまいますが、その喧嘩の仕方も子供っぽくて可愛い2人です。加藤さんは開幕に向け、「早く劇場にお客様が入って、クスクスっとお客様の笑い声が漏れて、幸せな空気が劇場を支配するといいなと思ってる」と意気込みました。

写真:岡千里

戸田恵子さんはなんと、38年ほど前に『裸足で散歩』に出演した経験があり、当時はコリーを演じていたとのこと。「今回お話頂いた時に、またコリーをやるのかと思ってびっくりした」と話し、会場を笑いで包みました。そんな戸田さんが今回演じるのは、コリーの母親。保守的な考え方の持ち主ですが、戸田さんが役者人生で保守的な役を演じるのはほぼ初めてのチャレンジなのだとか。

また、夜公演には、38年前に、戸田さんがコリーを演じていた時に母親を演じていた方が観に来られるそうで、思わず出演者の皆さんも感嘆の声を漏らしていました。戸田さん演じるコリーの母が、アパートの変わり者で有名なヴィクターとの食事を通して、保守的な姿勢から変化していく様子は必見です。

写真:岡千里

取材会で「逃げ出さなくて良かったと思う」と話した高田夏帆さんは、本作が初舞台。幕が開くとしばらく、高田さん演じるコリーが新居に引っ越してきて、部屋の片付けをしている様子が描かれ、1人で舞台に立ち続ける時間が続きます。保守的な母親の力を借りず、初めて自分で選んだ家に引っ越してきた喜びを全身で表していて、初舞台ということを全く感じさせない舞台姿でした。

また、コリーは喜怒哀楽をはっきりと表現する役。嬉しい時には夫のポールに抱きついたりと、コリーのパワフルさに度々ポールは振り回されています。そんなコリーは怒る時も全力。松尾さんは高田さんのコリーを観て、「本人は無意識でやっているんですが、大声で怒るときに、フラミンゴのように片足が上がります(笑)」と愛らしい高田コリーの癖を教えてくれました。

写真:岡千里

取材会後には、加藤さんと高田さんにより、テーマ曲「君と僕」が披露されました。楽曲は、凄く耳馴染みが良くて、そして歌詞も含めて、『裸足で散歩』という作品の世界観をシンプルに、かつ的確に描いている楽曲です。メロディーもキャッチーで可愛らしい歌です。テーマ曲なので、本編では歌われず、アフターイベントでのみの歌唱になります。

アフターイベントは、東京・9月22日(木)14:00公演、9月23日(金・祝)16:30公演、9月25日(日)16:30公演、兵庫・10月1日(土)17:00公演、神奈川・10月8日(土)16:30公演の5回行われる予定です。

また、来場者特典で、加藤和樹さんと高田夏帆さんがテーマ曲『君と僕』を歌う動画がARで観られる特製うちわが配布されます!是非、うちわをゲットして2人の歌唱姿を楽しんでみてはいかがでしょうか。

舞台『裸足で散歩』は9月17日(土) 〜9月 29日(木)に東京公演が自由劇場 にて上演されます。10月からは、兵庫、大阪、神奈川を周り、10月11日に東京・多摩公演で千秋楽を迎えます。詳しくはこちらから。

写真:岡千里

ミワ

愛らしいポールとコリーの新婚夫婦の様子に、観ていてとても幸せな気持ちになりました。高田さん演じるコリーが全力で喜怒哀楽を表すキャラクターでとても可愛らしいです!3幕構成で1幕が1時間未満で構成されているので、観やすいのではないでしょうか。