舞台『風が強く吹いている』は、三浦しをんさんの小説「風が強く吹いている」を原作に舞台化した作品。箱根駅伝を舞台とした青春が描かれています。1月18日に初日を迎える本作の取材会&フォトコールリポートをお届けします。
箱根駅伝が舞台の青春小説「風が強く吹いている」を舞台化
舞台『風が強く吹いている』は、直木賞作家の三浦しをんさんによる、箱根駅伝が舞台の青春小説「風が強く吹いている」が原作の作品。2006年に出版されると、翌年には漫画化、ラジオドラマ化され、その後も舞台化、実写映画化、テレビアニメ化とさまざまな形で多くの人々に愛されてきた人気作品です。
2021年にクリエイティブカンパニー「ILLUMINUS」によって新しく舞台化され、今回はキャストを一新しての再演。
主演の清瀬灰二役を、A.B.C-Zのメンバー・塚田僚一さんが務めます。
他キャストには、ミュージカル『ジェイミー』での好演が記憶に新しいDISH//の矢部昌暉さん。両親が箱根駅伝のファンで「陸上競技に造詣の深いアイドル」として知られる、元NGT48の西村菜那子さん。
TWiN PARADOとしてアーティスト活動も行っている双子の二葉勇さんと、二葉要さん。
舞台『Regulation’s High!』や『龍馬が翔ぶ』など近年舞台作品で主演を務めている冨岡健翔さん(ジャニーズJr.)ら、 フレッシュで個性豊かなキャストが揃いました。
『風が強く吹いている』あらすじは、陸上の才能を持ち、将来を期待されている蔵原走(カケル)。しかし、誰かの言いなりになって走ることに疑問を感じた走は、陸上競技部があるかも怪しい寛政大学へ進学し、陸上と距離を置こうとします。
ある日、大学の先輩・清瀬灰二(ハイジ)の紹介で格安の学生寮・竹青荘で暮らすことになった走は、寛政大学陸上競技部の“十人目の選手”として迎え入れられることになります。寮の格安家賃のからくりは、どうやら箱根駅伝を目指すことが条件だったよう。しかし、竹青荘の住人のほとんどは、陸上経験のない者ばかり。はたして彼らは箱根駅伝に出場し、その先にある“頂点”を目にすることができるのでしょうか…。
チームワーク抜群の座組みに「風つよ11」誕生?!
囲み取材には、塚田僚一さん、矢部昌暉さん、冨岡健翔さん、西村菜那子さんが登壇しました。
2022年11月にはボディ・ビルの一種のフィジークの大会への出場や、年末の「SASUKE」に向かって鍛えていた塚田さん。『風が強く吹いている』のランナー仕様の身体にするため、昨年12月の『ジャニーズ伝説』出演時には並行して身体作りを行なっていたことを明かしました。
筋肉を落とすために、本番で使うエネルギーの分だけ干し芋や鯖缶で食事を摂り、握力も極力使わないようにするために汗で滑らないように手袋を特別に用意してもらっていたという徹底っぷり!
身体作りよりも大変だったというのは、演じる清瀬灰二について。
ハイジは能動的に周りに働きかけていくタイプの主人公。ハイジを中心にメンバーが集まり、箱根駅伝という目標に向かっていくため、情熱やどっしりと構える姿勢、普段言い慣れないスポーツ用語、圧倒的な台詞量に苦戦したそうで、「今まで出演した舞台で一番大変だった」と話しました。
そんな座長の塚田さんについて、冨岡さんは、「いつもの皆さんが想像している明るくて、優しい塚田くんのありのままで(座組みを)引っ張ってくれた」と話しました。取材会中も、冨岡さんが塚田さんのフォローに入る場面が何度も見受けられ、先輩後輩の良い関係性が築かれていることが伝わってきました。
座組みのチームワークが良いという話題から塚田さんは「駅伝メンバー10人と、西村さん入れて、“風つよ11”という新しいグループ組みたいくらい!」と話し、矢部さんが「アクロバット練習しないと…」と呟く場面も。
本作に初演から出演している西村さん。「キャストの方が変わるだけで、雰囲気というものが、同じ作品でもこんなに変わるんだな」と感じたと話します。
そして驚くべきことに、矢部さんと西村さんは高校の同級生で、高校一年生の時には同じクラスだったそう!「同じクラスだった人と、大人になってから同じ舞台に立てるなんて!」と感動したことを明かしました。
矢部さんが「(西村さんと)一緒に保健委員やってたんですよ」と話すと「そうだ!よく覚えていたね!」と西村さん。
卒業してから一度も会っていなかったというお二人。矢部さんは「最初高校の友達として喋っていいのか、仕事の仲間として話していいのか、距離感に困った」そうですが、お互いに「いい意味で何も変わっていなかった」と、当時の青春感や関係性をそのまま作品に活かせたようで、普段から仲のいい様子が伺えました。
臨場感あふれる八百屋舞台で繰り広げられる青春群像劇
舞台は「八百屋舞台」と呼ばれる、舞台面が傾斜になっている形がとられています。
塚田さんは「実際に斜面で走る芝居をすると、坂を下っていく気持ち良さを実際に感じた。走り切らないといけない!とか、やり切らないといけない!という芝居が舞台の形と相まって、熱量みたいなものが生まれるのでは」と、身体に負担がかかる舞台装置ではありますが、それが臨場感に繋がるという話をしてくれました。
そのことが充分に伝わって来たのが、フォトコールで上演された寛政大学初の記録会出場のシーン。
他校の生徒も登場。傾斜になっている一番上から全員が出発するときの飛び出してくる感じや、フォーメーションチェンジをしながら走るパフォーマンスで実際に大会を見ているような臨場感を感じます。
阿部快征さん演じる王子が体力が尽きていく中、なんとかゴールしようと懸命に走る様子は、箱根駅伝で区間を走り終えた選手が倒れ込みながら襷を繋げる様子を彷彿とさせます。
フォトコール2シーン目は、陸上競技部が生活する寮・竹青荘に葉菜子がやってきて、商店街の有志が陸上競技部の後援会を計画していることを話すシーン。
「練習環境を整えるために資金が必要!」と訴えかける葉菜子ですが、資金調達の方法の中には“選手のブロマイド”というものも。そして、二葉勇さん・要さん演じるジョータとジョージの双子と葉菜子の恋の予感…?!
一人一人のタイムが17分を切らないと予選突破すら難しい中、記録会での最新のタイムが全員17分を切ったことがマネージャーの葉菜子から伝えられます。喜ぶ皆んなと対照的に「今みたいにちんたら走っていたら箱根にはいけない!」と仲間たちに怒りをぶつけてしまうカケル。
冷静さを欠くカケルに、ハイジは「君の価値基準はスピードだけなのか?」と問いかけます。
過去に故障して走れなくなったことがあるハイジは「走ることを真剣に望む人と一緒に走りたいと心から思った」と話します。
焦りから周りが見えなくなっていたカケルですが、ハイジの話を聞き「襷は1人では繋げない…」と、陸上競技部の仲間全員で箱根駅伝に出場することを改めて決心するのでした。
スポーツと演劇の融合、新しいエンターテイメント作品となっている 舞台『風が強く吹いている』。熱量が感じられるアツい青春が描かれています。
舞台『風が強く吹いている』は1月18日(水)〜22日(日)まで東京・シアター1010にて上演です。チケット購入の詳細はこちら。
年始の箱根駅伝が記憶に新しい今、観るにふさわしい舞台ではないでしょうか!スポーツに明るくなくても、演劇に明るくなくても、万人が楽しめるエンターテイメント作品です。