全編楽曲で進行していくソングスルーミュージカル『Ordinary Days』。N.Y.で生きる男女4名の人生の重なる瞬間が描かれています。今回は、相葉裕樹さん、夢咲ねねさん、斎藤瑠希さん、浜崎香帆さん、小池竜暉さん(GENIC)、中本大賀さん(円神)、演出の田中麻衣子さんが登壇した稽古場オンライン取材会の様子をお届けします!
幸せを求める4人の人生が一瞬交差する儚さと美しさを描く
ソングスルーミュージカル『Ordinary Days』は、2008年オフ・ウエストエンドで初演、翌年2009年オフ・ブロードウェイで上演され話題を呼びました。
N.Y.で暮らす男女4人を描いた『Ordinary Days』。ジェイソンとクレアは、互いを想いながらも、最近は衝突ばかり。
アーティストを目指しているウォーレンは、地道に手書きのチラシを地道に配布する活動をしています。ある日、大学の論文に追われているデイブのノートを偶然拾い、二人は知り合います。日々を懸命に生きる4人の人生が、思わぬ形で繋がっていって…。
私たちの人生の物語が見知らぬ誰かの人生に交差しているという、儚さと美しさを思い出させてくれる作品です。
ダブルキャストで全く印象の異なるデイブとウォーレン
取材会には、相葉裕樹さん、夢咲ねねさん、斎藤瑠希さん、浜崎香帆さん、小池竜暉さん(GENIC)、中本大賀さん(円神)、演出の田中麻衣子さんが登壇。初めに劇中曲が3曲披露されました。
ジェイソンとクレアの歌う『I’m Trying』。昔書いていた「N.Y.でやるべきこと」を見て、2人で1年間の間にやった思い出を話す楽曲。夢咲さんが「個人的にはすごく楽しんで歌っている」と好きな楽曲としてあげていましたが、クレアとジェイソンの関係性が分かる可愛らしい楽曲となっていました。
次にデイブとウォーレンの『おとぎ話』。メトロポリタン美術館で二人が会うシーンです。浜崎香帆さんと中本大賀さん(円神)のペアはとてもアクティブ。中本さん演じる喜怒哀楽がはっきりとしていて子犬のようなウォーレンに、浜崎さん演じるしっかり者で気が強いデイブが振り回されている印象を受けました。
対する、斎藤瑠希さんと小池竜暉さん(GENIC)ペアは、勉強一筋の真面目な齋藤デイブが、マイペースな小池ウォーレンに巻き込まれていくという印象。
取材会で演出の田中麻衣子さんからも話が出たように、ダブルキャストのデイブとウォーレンは全く違うキャラクター。1曲だけで感じたので、全編通してどのようなキャラクターになっているのか、観るのが楽しみになりますね!
最後に全員で『Hundred Story』を披露しました。相葉さんによると、4人のハーモニーが初めて重なる曲なんだそう!N.Y.という街に負けてしまいそうだったけれど、クレアという存在ができて自分にも居場所ができたと歌うジェイソン。
「いくつものストーリーが渦巻く街」という歌詞や、街としての存在の大きさ、夢を追い求めて人々が集まるところから、東京という街に重ねて考えて、とても共感できるのではないでしょうか。
難易度の高い楽曲に苦戦?!
約90分間、台詞はほとんどなく全編歌で進んでいくソングスルーミュージカル『Ordinary Days』。出演者は4人だけ、演奏もピアノ1台というとてもシンプルな作品です。
演出の田中さんは「他の人からするとなんともない瞬間でも、本人たちにとってはかけがえのない、奇跡的な出会いを果たしている。そんな瞬間が垣間見える時間になったら」と語りました。
相葉さん演じるジェイソンは、30代のどこにでもいる心優しい男性。クレアと二人暮らしをしたくて引っ越しをするところから物語が始まります。
夢咲さん演じるクレアは、心に傷を負っており、そこから踏み出せずにいる女性。ジェイソンと出会い、自分と対峙し、見つめ直しながら新しい未来へと一歩を踏み出す姿を見てが描かれています。
ジェイソンはそんなクレアの悩んでいる姿を見て、衝突してしまったり。相葉さんは「うまくいかないことなど、日常的なシーンが多く描かれていて、みなさんに共感していただけるようなキャラクターになっているのでは」と話しました。
齋藤さん、浜崎さんが演じるデイブは、課題に追われている大学生。20代ならではの悩みがたくさん描かれていて、お2人とも「共感しながら演じている」と言います。
小池竜暉さん(GENIC)、中本大賀さん(円神)演じるウォーレンは若いアーティストの青年で、ニューヨークという大きな舞台でがむしゃらに夢を追いかけています。
小池さんも中本さんも、グループでのアーティスト活動をしており、ウォーレンはご自身とも近い役柄です。
中本さんは、ウォーレンという役を通して「アーティストにも色々なアーティストの活動があるな」と感じたそう。「ウォーレンの中で最終的にアートってどういうことなんだろうと知っていく過程を楽しんで頂けたら」と話しました。
舞台経験豊富な相葉さんでも「一曲一曲ハードルが高くて、毎日ヒイヒイ言っている。本当に大変です」と言い、楽曲の難しさが伺える本作品。ピアノ1台の演奏で心情表現をしなければならず、会話にそのままメロディーが乗っていくため、言葉に説得力を持たせることが求められます。
初ミュージカルというウォーレン役のお2人ですが、「打ちひしがれてはいますが、逆に楽しんで出来ている」と話すのは小池さん。中本さんも「指摘して頂いたことを自分の中にインプットして、処理して、アウトプットしていくこと。とにかくエンジン全開で頑張ります」と頼もしい回答でした。
俳優座劇場の客席と舞台上の距離が近いからこそ感じられるものもありそうですね。
ソングスルーミュージカル『OrdinaryDays』は、2月8日~12日東京・俳優座劇場で、2月18日大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで上演です。公式HPはこちら。
物語の舞台はN.Y.ですが、描かれている人物や悩みなど、東京など日本の都会で生きる私たちにとても共感できる作品だと感じました。