大ヒット映画を元にアンドリュー・ロイドウェバーが作曲・プロデュースを務め、待望の日本初演を迎えるミュージカル『スクールオブロック』。8月17日の初日を前に、主人公デューイを演じる西川貴教さん・柿澤勇人さんらが登場、プレスコールと質疑応答が行われました。

「時間の無駄遣いをしようぜ!」

プレスコールでは柿澤勇人さん、梶裕貴さん、宮澤佐江さんと生徒らによる3シーンが披露されました。まず、ネッド(梶裕貴さん)から家賃の支払いを求められ、自分が作ったバンドを追い出され、バイトもクビになってしまったデューイ(柿澤勇人さん)が、それでもなお諦めきれない熱い想いを叫ぶ、「マウント・ロックのてっぺんで」。

デューイがどん底へと落ちていく様をセット転換や映像演出で魅せながら、どんなに現実が厳しくても変わらない彼の根源的な情熱と強さが表現されています。

続いて、かつてデューイとともにバンドで夢を追いかけていたネッドが、恋人のパティ(宮澤佐江さん)に見つからないように音楽ゲームに興じる「ロックの申し子」。“大人になった”と自分を諭しながらも、自分の奥底にある音楽への愛情が溢れ出てしまうネッドには、憎めない可愛らしさを感じます。

最後に、厳格な学園で親の期待を背負い、良い大学に入ることを目指す生徒たちとデューイによる「俺たちはバンド」が披露されました。音楽の時間にクラシックを奏でる生徒たちを見て、その才能をロックに活かすことを考え、デューイが生徒たちに楽器を手渡していきます。“時間の無駄遣いをしようぜ!”というデューイの奔放な言葉と共に、徐々に生徒たちの中にロックが根付いていく、“スクールオブロック”誕生の瞬間です。

西川貴教、稽古場で号泣?!

プレスコール後に行われた質疑応答とフォトセッションには、翻訳・演出の鴻上尚史さん、デューイ役の西川貴教さん・柿澤勇人さん、ロザリー役の濱田めぐみさん、ネッド役の梶裕貴さん・太田基裕さん、パティ役のはいだしょうこさん・宮澤佐江さんが登場しました。

プレライブイベントでも本作への熱い思いを語っていた鴻上尚史さんは、約2ヶ月半に渡る稽古を経て遂に日本初演に漕ぎ着けた喜びとこだわりを明かしました。

「ようやくここまで来ることができて、興奮しております。日本人にとってはブロードウェイ版より胸に響く作品にしたいと思い、簡単にハグやチューをすることに抵抗のある民族であることは意識しました。プレスコールで披露した「俺たちはバンド」でも、ブロードウェイ版では最初にギターをスカウトした段階で、生徒たちはノリノリになっているんです。でも僕たち日本人はそんなに陽気じゃないというか、ギター・ベース・キーボードとスカウトしていくうちに、徐々に信じていく方が合う。日本語・日本人でやるからこそ、日本人に届く作品になるように作りました」

西川貴教さんは本作で初めてWキャストを経験し、「同じシーンを同じだけ共有する柿澤くんが横にいるのは、凄く新鮮で不思議な感覚」だったといいます。一方、柿澤勇人さんは「子どもたちがふとした瞬間に見せるピュアな、芝居なのか本人なのか分からないような瞬間があります。特にグッとくるシーンが2幕にあるのですが、稽古場でふと隣を見たらそこで西川さんが号泣していて(笑)。タオルを目頭に当てていて、子どもたちに心を鷲掴みにさせられると共に、西川さんのピュアさも感じました」と、稽古場での温かいエピソードを語りました。

このWキャストについて鴻上さんは「ロックパフォーマー対ミュージカルベテランスター。ここまでWキャストでテイストが違うのはあまりないと思います」と、2人それぞれの魅力を表現しました。

また、生徒役の子どもたちのプロフェッショナルな演奏も本作の魅力の1つ。梶裕貴さんは「稽古場で何度聞いても毎回痺れたのは、フレディのドラムソロ。アドリブ満載で、とてもテクニカルな演奏なので何度観に来ても楽しめる部分」だとアピールしました。

撮影:山本春花

ミュージカル『スクールオブロック』は8月17日から9月18日まで東京建物Brillia HALL、9月23日から10月1日まで大阪・新歌舞伎座にて公演が行われます。(上演時間は約170分)子どもたちの生演奏と共に繰り広げられるロックで熱い物語を、お見逃しなく。

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Yurika

24名の子どもたちとの稽古場は大変賑やかだったようで、鴻上さんは2キロ半痩せてしまったのだとか。「まず楽しむ」姿勢を生徒たちから学んだという濱田めぐみさんと同様、子どもたちのピュアでエネルギッシュな姿に魅了される作品となりそうです。