トニー賞で6部門を受賞し映画化もされた大ヒットミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』が、日本版演出のもと、2026年7月より東京・愛知・大阪で上演されます。東京公演の好評を受け、追加4公演の上演も決定。追加公演チケットはホリプロステージ/テレ朝チケットにて3月24日(火)18:00より抽選受付が開始されます。

SNSを題材にした現代的な傑作ミュージカル

ミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』は、2016年にニューヨークのブロードウェイで上演されるやいなや、連日チケットが完売となるほど大ヒットした作品です。第71回トニー賞でミュージカル作品賞とミュージカル脚本賞、オリジナル楽曲賞ほか6部門に輝き、第60回グラミー賞や第45回エミー賞も獲得。2021年にはミュージカル版オリジナルキャストであるベン・プラットさんの主演で映画化されました。

物語では、社交不安障害を抱え孤独な日々を過ごすエヴァン・ハンセンがクラスメイトの死についてひとつの嘘をついたことで、自身と周囲の人生を変える事態へと発展していきます。

脚本を担当したのは、ミュージカル『RENT』に大きな影響を受けたスティーヴン・レヴェンソンさん。『RENT』の生みの親であるジョナサン・ラーソンさんの自伝的ミュージカルをもとに2021年に配信された映画『tick, tick… BOOM!』では、脚本を務めました。

本作では、自らの“居場所”を求める若者の孤独感や葛藤、大人たちの不器用な喪失との向き合い方など、複雑に揺れ動く感情を細やかに描写。一方で、SNSが日常に溶け込みますます混沌とする現代において、他者の悲劇を自分の物語として共有したがる心理や人との繋がりにも鋭い視線を向けています。

<あらすじ>
エヴァン・ハンセン(柿澤勇人/吉沢 亮)は学校に友達がおらず、唯一の家族である母親ハイディ(安蘭けい/堀内敬子)にも心を開けずにいる。社交不安障害の治療のため医師に勧められ、書いていた「Dear Evan Hansen(親愛なるエヴァン・ハンセンへ)」から始まる自分宛の手紙を、ある日、学校で同級生のコナー(立石俊樹/廣瀬友祐)に持ち去られてしまう。それは誰にも見られたくないエヴァンの心の声が書かれた手紙だった。

後日、校長室に呼び出されたエヴァンは、コナーの父ラリー(石井一孝/新納慎也)と母シンシア(瀬奈じゅん/マルシア)からコナーが自ら命を絶った事を知らされる。悲しみに暮れるコナーの両親は息子が持っていた手紙を見つけ、コナーとエヴァンが親友だったと思い込み、二人の友情を詳しく知るためにエヴァンを夕食に招待する。夕食の席で妹のゾーイ(木下晴香/松岡茉優)から疑いの目を向けられるものの、エヴァンは両親の悲しみに耐えきれず、とっさに嘘をついてしまう。

さらにエヴァンは、友人のジャレッド(上口耕平/須賀健太)の力を借りて、友情の証拠であるメールのやり取りをでっち上げる。コナーの両親にメールのやり取りを見せ、“コナーとの楽しかった思い出”を語り、嘘を塗り重ねてしまう。

エヴァンとジャレッド、同級生のアラナ(高野菜々/宮澤佐江)は、コナーの存在を忘れないためにコナー・プロジェクトを学校で立ち上げる。エヴァンの感動的な作り話のスピーチがSNSで急速に拡散され、彼と周囲の人々の人生を大きく動かす。

やがて<とっさについた嘘>の真実が少しずつ明らかになり、事態は思いもよらぬ方向に進んでいく―。

耳と心に残る音楽も大きな魅力

本作の作詞・作曲は、ベンジ・パセックさんとジャスティン・ポールさん。このコンビは、2016年の映画『ラ・ラ・ランド』で作詞を、2017年の映画『グレイテスト・ショーマン』で作詞・作曲を手掛けたことで広く知られています。さらに、2019年の映画『アラジン』では新たに書き下ろされた「Speechless」の作詞を担当し、ディズニー音楽の巨匠として名高いアラン・メンケンさんとの共作を果たしました。

そんな2人が作る楽曲は、耳に残るメロディとストーリーに重なる歌詞が心に響く名曲ばかり。中でも特に人気なのが、エヴァンの人物像を印象付ける「Waving Through a Window」です。ポップな曲調に対して、歌詞には「孤独でまるで透明人間のような自分だけれど、誰かに気付いてほしい」というエヴァンの切実な願いが込められており、共感を覚える方も多いのではないでしょうか。

また、ドラマチックに盛り上がる旋律に乗せてエヴァンたちが歌う「You Will Be Found」も代表曲のひとつです。「あなたを見つけてくれる人はきっといる、だから決して独りじゃない」という力強いメッセージから、人との出会いや繋がりがもたらす希望を感じられます。

注目の演出家と経験豊富な翻訳家が創り上げる日本版

日本版演出を務めるのは、数々の舞台・ミュージカルで評価されている演出家の小山ゆうなさんです。2017年の舞台『チック』における翻訳・演出の成果で、第10回小田島雄志・翻訳戯曲賞と第25回読売演劇大賞の優秀演出家賞を受賞。近年の主な演出作にミュージカル『梨泰院クラス』や『GIRLFRIEND』などがあります。また、2026年2月から3月にかけてPARCO PRODUCE 2026『プレゼント・ラフター』が全国ツアー公演中。今後も、2026年11月には演出する劇団四季ミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』、2027年1月に翻訳・演出を手掛けるミュージカル『ファインディング・ネバーランド』が上演予定です。

そして、劇作家・翻訳家の高橋知伽江さんが訳詞を担当します。高橋さんは数多くの作品で演劇台本の執筆や翻訳、訳詞を手掛け、2016年には劇団四季ミュージカル『アラジン』の訳詞により第23回読売演劇大賞の優秀スタッフ賞に選出。代表作のひとつにディズニー映画『アナと雪の女王』の訳詞が挙げられ、2021年よりロングラン上演されている同作ミュージカルの日本語台本・訳詞も担いました。さらにオリジナルミュージカルの創作にも積極的に取り組み、劇団四季ミュージカル『バケモノの子』や『ゴースト&レディ』に脚本・歌詞で参加。2026年2月に閉幕したばかりのミュージカル『ISSA in Paris』でも脚本・訳詞を務め、モーリー・イェストンさんによるオリジナルストーリーを舞台上に立ち上げました。

豪華Wキャストで紡ぐ、青年と周囲の人々の機微

日本版では各役がWキャストとなっています。

主人公のエヴァン・ハンセンを演じるのは、ブロードウェイで本作を観劇して以来、出演を望んでいたという柿澤勇人さんと吉沢 亮さん。

柿澤勇人さんは2007年に劇団四季に入り、同年デビュー。退団後は舞台やミュージカルを中心に映像作品にも出演し、熱量溢れる柔軟な演技で観る人を惹きつけています。とりわけ2024年は、ミュージカル『スクールオブロック』と舞台『オデッサ』で第49回菊田一夫演劇賞に選ばれ、『スクールオブロック』『ジキル&ハイド』で第31回読売演劇大賞の優秀男優賞を受賞するという躍進の1年でした。2026年3月に開幕するミュージカル『ジキル&ハイド』での主演をさらなる糧として、エヴァンの人物像をどう掘り下げていくのか楽しみです。

吉沢 亮さんは映画やドラマ、CMなど幅広いジャンルで活躍し、作品の世界観に溶け込みながらも唯一無二の存在感を放っています。2025年公開の主演映画『国宝』では歌舞伎の女形という難役に全力で挑み、社会現象を巻き起こすほどの大ヒットに導きました。2025年9月から放送開始した連続テレビ小説『ばけばけ』での好演も話題となっており、今勢いに乗る俳優のひとり。2020年にブロードウェイミュージカル『プロデューサーズ』でミュージカルに初挑戦していますが、そこから積み重ねてきた経験を武器に新たな境地を見せてくれるのではないでしょうか。

エヴァンの母親・ハイディ役は、安蘭けいさんと堀内敬子さんです。

安蘭けいさんは元宝塚歌劇団の星組男役トップスターにして、退団後もミュージカルからストレートプレイまで多彩に出演し続けています。実は、2026年3月に上演開始のミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』で演じるのも母親役。数多くの作品を経てますます深みを増す表現力で、心を閉ざす息子との関係を丁寧に体現してくれるでしょう。

劇団四季出身の堀内敬子さんは、舞台・ミュージカルをベースとしながら近年は映像分野にも進出。2007年の舞台『コンフィダント・絆』で第33回菊田一夫演劇賞と第15回読売演劇大賞の優秀女優賞を受賞しました。コメディからシリアスまで多様な役柄を自然体で演じ分ける感性に定評があります。

エヴァンの同級生であり、物語のキーパーソンでもあるコナー役は立石俊樹さんと廣瀬友祐さん。

立石俊樹さんは2017年にミュージカル『テニスの王子様』でデビューして以来、ミュージカルや舞台で経験を積んでいます。直近では、堤幸彦さん演出の舞台『忠臣蔵』で浅野内匠頭と小林平八郎の2役を見事に演じ切りました。

俳優・歌手の廣瀬友祐さんは『マタ・ハリ』をはじめミュージカル作品に多数出演し、2022年のミュージカル『モダン・ミリー』で第30回読売演劇大賞の優秀男優賞を受賞。さらに2025年には、ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』と再演された『モダン・ミリー』でMusical Awards TOKYO 2024の助演俳優賞グランプリを獲得しています。

また、コナーの妹・ゾーイを演じるのは木下晴香さんと松岡茉優さん。

木下晴香さんは伸びやかな歌声と凛とした雰囲気を強みとして、ミュージカル『レ・ミゼラブル』のファンテーヌ役や『アナスタシア』のアーニャ役など名作のヒロインを務めています。2026年3月には音楽劇『コーカサスの白墨の輪』で主演を務めており、演劇界でも注目を集める存在です。

松岡茉優さんは映画・ドラマでの活躍が光り、日本アカデミー賞やブルーリボン賞を受賞してきた実力の持ち主。エヴァンが密かに好意を寄せるヒロイン役とあって、その演技に期待が高まります。

コナーの父・ラリー役は、石井一孝さんと新納慎也さんです。

石井一孝さんは役にぴたりとハマる演技力や豊かな声量、幅広い音域を歌い分ける歌唱力により、ミュージカル俳優として確かな地位を築いています。近年はYoutubeチャンネルでの発信にも注力。2026年3月開幕のミュージカル『天使にラブ・ソングを〜シスター・アクト〜』では、コナー役の廣瀬さんとWキャストで共演します。

新納慎也さんは、ミュージカルやストレートプレイなどジャンルを問わず舞台作品に出演。一方で映像作品への出演機会も多く、2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』や2023年の連続テレビ小説『ブギウギ』で視聴者のロス現象を生んだことでも話題を呼びました。

コナーの母・シンシア役には、瀬奈じゅんさんとマルシアさん。

瀬奈じゅんさんは宝塚歌劇団の月組男役トップスターとして人気を博し、退団後も数々の作品に登場する活躍ぶりをみせています。3月にはミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』で安蘭さんと共演し、そちらでは育ての母親役を演じます。

マルシアさんは俳優だけでなく歌手としての顔も持ち、心揺さぶる情熱的な歌声が魅力。2026年4月よりミュージカル『奇跡を呼ぶ男』への出演が控えています。

エヴァンの友人・ジャレッド役の1人は、表現力に加えて歌とダンスにも定評があり、3月現在はミュージカル『ダブル・トラブル TAKE2〜Hollywood Ending~』に出演中の上口耕平さん。もう1人は2025年に舞台『1995117546』で主演を務め、ミュージカルには本作が初挑戦となる須賀健太さんです。

同級生の女子・アラナ役の1人は、音楽座ミュージカルの看板女優として着実に実力を磨き、2025年に独立してからも俳優・歌手の道をまい進している高野菜々さん。もう1人の宮澤佐江さんは、3月1日まで韓国発のオリジナルミュージカル『ラパチーニの園』の日本初演にてヒロインを演じていました。

そして、登場人物の内面をダンサーが“影”として表現する演出も見どころ。ダンサーには尾関晃輔さん、澤村 亮さん、瀬崎宙乃さん、十川大希さん、福島玖宇也さん、藤田実里さん、渡邉 南さんが名を連ねます。

ミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』は、2026年7月25日(土)から8月23日(日)まで東京ドリームパーク内のEX THEATER ARIAKEにて上演。その後は8月29日(土)から9月6日(日)まで愛知・御園座、9月10日(木)から21日(月・祝)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演予定です。公演に関する詳細は公式HPをご確認ください。

もこ

一人ひとりが抱える孤独や悩みが、SNSでの「共有」「拡散」で急速に変質してしまう時代。そこに恐ろしさを感じつつも、人とのつながりに希望を見出したいという私たちのジレンマを『ディア・エヴァン・ハンセン』が代弁しているように思います。