ジョナサン・ラーソンが脚本・作詞・音楽を手がけ、<Seasons of Love>などの名曲でも知られるミュージカル『RENT』。20世紀末のニューヨークに生きる若きアーティストやミュージシャンたちの生き様を鮮烈に描いた本作は世界中で愛され、日本でも上演を重ねてきました。2026年公演で新たにマークを演じる鈴木福さんに、本作にかける思いを伺いました。
先輩たちから影響を受けた、ミュージカルへの想い

−『RENT』への出演が決まった時の心境からお聞かせください。
「歴代に様々な方々が演じてこられた、ものすごく人気の作品・そしてマークという役をやれることが嬉しかったですし、何よりもミュージカルへの想いが強くあるので、ミュージカルに出られることが嬉しかったです。『RENT』という作品についてはもちろん知っていましたし、日本版初演のマークを僕がずっとお世話になっている山本耕史さんが演じられていて、『RENT』への熱い想いを伺っていたので、もし自分も出られるチャンスがあるならやりたいと願ってきました」
−ミュージカルへの想いが強いのはなぜでしょうか。
「初舞台がミュージカルだったのもありますし、幼少期からミュージカルはすごく好きでした。仲良くさせていただいている先輩方、耕史さんや阿部サダヲさん、古田新太さんなどもミュージカル・舞台を大切にされているので、そういった影響も大きいです。エンタメの中でも特にその“色”を感じられるミュージカルは、すごく素敵だなと思います。初舞台のミュージカル『ビッグ・フィッシュ』(2017年)は毎日が楽しくて、自分の出番がない時は裏でずっと歌って踊っていた楽しい記憶があります。大学1年生の時に出演した『カラフル』(2023年)では、役者として音楽に乗って動く感情が心地良く感じられたので、そういった経験からミュージカルへの想いはずっと持っていました」
−本作はオーディションで掴み取られた役だと思いますが、どのようにアピールされましたか。
「僕がやったら僕のマークになる、と言いますか、僕ができるのは、自分が目指すところに向かっていくことしかないんじゃないかなと思いました。だから、映画や舞台映像などはいっぱい観て、自分の中のイメージを膨らませて挑みました。これだけ人気の作品で、やりたい人が多い役でもある中、僕は年齢的に若いのかなとは思ったのですが…個性の強いキャラクターたちの中で一番お客様が親しみを持てる役、作品とお客様を繋ぐ役だと伺って、自分が色々な方に知っていただいていることが上手く重なるのかなと思いました。今回出演が決まってから“意外だね”という言葉もたくさん頂いているんですけれど、“普通そうに見えて、そうではない”という役柄は今までもやらせて頂くことが多かったですし、マークの普通そうに見えて、周囲とある種馴染みたくないような感覚も理解できます」
複雑で幅広い楽曲が生み出す『RENT』の作品性

−出演が決まり、『RENT』という作品に向き合ってみて、作品の魅力はどんなところに感じていますか。
「1996年に初演された作品で、当時と今とではアメリカも日本も情勢が大きく変化していますけれども、本質的には変わらないものがあったり、共感できたりするというのは本当に凄いなと思います。何より音楽が素晴らしいですよね。歌っていると難しいんですけれども、様々なジャンル・曲調の楽曲が揃っているのに、音楽でどんどん繋がっていって、まとまりがある。聴いていても、歌っていても、音楽の凄さを実感します。複雑さや楽曲の幅広さが、作品性と多様なキャラクターを表していると思いますし、それぞれのキャラクターをこんなにも魅力的に描けるというのもこの作品の素晴らしさだと思います」
−パフォーマンスするのを楽しみにしている楽曲はありますか?
「最初の<RENT>は自分がどこまでやれるのか期待もありますし、脳みその血管が引きちぎれるくらいのパワーでやりたいなと思っています(笑)。<La Vie Boheme>や<Seasons of Love>も楽しみです。みんなでエネルギーを高める瞬間というのは、僕らステージ上もそうだし、お客様もものすごくエネルギー値が高まって、“何か凄いものを観ているぞ”という感覚になれると思うので、そういう瞬間を作っていけるように頑張りたいです」
−マークというキャラクターに対しての印象についてはいかがですか。
「映像作家志望ということで、出る側と撮る側の違いはありますけれど、業界としては近しい役なのかなと思います。もちろん時代や生活環境、周りにいる人たちの違いはありますけれど、そこはしっかりと向き合って勉強し、さらに深掘りしていきたいです。でも彼の中にある沸々とした思いはとても共感できます。僕は割と穏やかな、おっとり、のんびりしているイメージを持たれている方が多いのかなと思うのですが、芯にある想いは強いので、今回それがマークとして活かせたらと思います」
音楽が連れて行ってくれる、新たな世界

−鈴木さんとしては、大学をご卒業する学生生活ラストイヤーの節目の年に、『RENT』出演となりますね。
「確かに言われてみればそうですね。高校生の頃から、特に大学生になってから舞台に立つ機会をたくさん頂いてきて、『RENT』出演が発表された時、『アカシアの雨が降る時』(2023年)でご一緒した作・演出家の鴻上尚史さんに“ここまで来たか”と言って頂いたんです。そういう言葉を頂いたことでも4年間の成長を感じましたし、次に進む上でも大事な作品になるのかなと思います」
−映像作品でのご活躍はもちろん、コメンテーターなど幅広いお仕事をされている中で、ミュージカルで感じる充実感はどのようなものでしょうか。
「とにかく音楽がすごく好きなので、そういう環境に身を置ける日々が送れるのが幸せですし、ステージ上で歌うことや踊ること、お芝居もすごく好きだし楽しいんです。そこでお客様が反応してくださるのも嬉しいです。僕の場合は歌って踊るイメージがあまりないと言ってもらうこともあって、その分、皆さんの期待を裏切りたい、“やってやるぞ”という気持ちが強くあるのかもしれません。エンターテイナーというものに対する憧れや思いは強いと思いますし、僕が楽しんでやれる場所だなと思います」
−お芝居をされている中でストレートプレイとミュージカルの違いを感じる瞬間はありますか。
「音楽の力って凄いなと思う瞬間がミュージカルにはたくさんあります。もちろんストレートプレイでもそれを感じる瞬間はあるんですけれど、ストレートプレイでは自分と相手や周りとのお芝居の中で生み出していく感覚がある中で、ミュージカルで音楽が加わると、目の前で生まれているものとはまた違うところに連れていってもらっている感覚があります。稽古中、自分が気づかないうちに、自分が作っている感情から1段階先に飛ばしてもらったような状態になった経験がこれまで何度かあって、それが面白いです。役として歌うことで得たものというのは大きかったです」

−名曲<Seasons of Love>では“1年をどう数えるか?”という問いがありますよね。鈴木さんは何で数えますか?
「超難しい質問ですね!(笑)感情という言葉でまとめたくはないけれど、自分が感じた数、は大事かなと思います。今この質問をもらって僕が感じたことも多分1つではなくて、そこから何を受け取ってどう返そうか、ということもそうですし、この作品であんなこと言っていたな、とか、これまでの人生で出会ってきたものを振り返ったり、たくさんのことを感じるものだと思うんです。その瞬間に感じて生み出されるもの、というのはこれからも大事にしていきたいものだと思います」
−最後に本作に対する意気込みを聞かせください。
「既にチケットを取ってくださっている方もたくさんいらっしゃると思いますし、今興味を持ってくださっている方もいらっしゃると思います。『RENT』という作品に愛を持って向き合って、今の僕にできるマークを精一杯演じたいと思います。既にチケットを取ってくださる方はぜひ楽しみにしていていただきたいですし、これからチケットを取りたいと思っている方には、その期待を行動に起こしていただけたら嬉しいです。とにかく精一杯準備していくので、よろしくお願いします」
ミュージカル『RENT』は2026年10月15日(木)から11月13日(金)までシアタークリエにて上演。その後、11月20日(金)から21日(土)まで広島・呉信用金庫ホール、11月26日(木)から29日(日)まで福岡・博多座、12月4日(金)から6日(日)まで愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、12月11日(金)から14日(月)まで大阪・SkyシアターMBSにてツアー公演が行われます。公式HPはこちら

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ミュージカルへの愛がとっても伝わってくるお言葉の数々に胸が熱くなりました。お写真は、レンズを通して“傍観者”となるマークや、個性豊かなメンバーに囲まれた真ん中で佇むマークをイメージして撮影させていただきました。




















