6月26日(月)より東京建物 Brillia HALLにて幕を開けるミュージカル『SUNNY』。大人になったSUNNYのメンバーを、花總まりさん、瀬奈じゅんさん、小林綾子さん、馬場園梓さん、佐藤仁美さんが演じます。懐かしの80年代のJ-POPがふんだんに散りばめられたジュークボックスミュージカルです。(制作発表リポートはこちら、作品について詳しくはこちら

韓国発の人気映画を80年代日本へと翻案し誕生したジュークボックスミュージカル『SUNNY』

2011年に、カン・ヒョンチョル監督により韓国で製作され、大ヒットを遂げた映画『SUNNY』。香港や日本、ベトナムなどアジア各国でリメイクされ愛されている作品。日本では、2018年に映画『SUNY 強い気持ち・強い愛』が公開され、熱狂的なファンの方が多数いる作品です。

舞台化された『SUNNY』では、松田聖子さんの「SWEET MEMORIES」や松本伊代さんの「センチメンタルジャーニー」、荻野目洋子さんの「ダンシング・ヒーロー」、あみんさんの「待つわ」など1980年代のヒット曲に乗せて、バブル絶頂期と現代の日本を舞台に、学生時代と大人になった「SUNNY」のメンバーが繰り広げる笑いと涙の青春物語となっています。

個性豊かな「SUNNY」のメンバーを演じるのは、現在は反抗期の娘と出張で家を開けがちな旦那と生活する主婦となっている奈美役に花總まりさん。SUNNYのリーダーで、現在は大病を患い余命宣告を受けている千夏役に瀬奈じゅんさん。

保険会社のバリキャリとして働く桜役を馬場園梓さん、セレブへと変貌を遂げるみどり役を小林綾子さん、お嬢様育ちでしたが現在は生活に困窮している好恵役を佐藤仁美さん。

そして、青春時代の奈美役を日向坂46出身の渡邉美穂さん、千夏役をBerryz工房出身の須藤茉麻さんが演じます。さらに、奈美がSUNNYのメンバー探しのために雇う探偵役を、ラーメンズの片桐仁さんが務めます。

「あの頃は全てに全力だった」SUNNYのメンバーが繰り広げる笑いと涙の青春物語

ミュージカル『SUNNY』で描かれるのは“輝いていた青春時代と今”。脚本・演出を務める西田征史さんは「“あの頃”と“今”という2つの時代を舞台としてどうテンポ良く見せるか….。素敵な映画の魅力を損なうことなく舞台化するべく、試行錯誤を重ねました」とコメントしている通り、映画のようにテンポ良くシーンが移り変わっていきます。

制作発表の際に「こんなに出ずっぱりの舞台は初めて」と花總さんが話していたことが思い出され、思わず納得しました。

過去と現在の行き来を可能にしているのが、舞台セットを駆使した演出。美しいのが、高校時代のSUNNYと現在のSUNNYが交錯する瞬間です。H2Oの「想い出がいっぱい」が歌われる場面では、高校時代のSUNNY6人は、少女時代の渦中でキラキラと輝かしい様子。その記憶を懐かしみ、大人になったメンバーたち5人が「少女だったと懐かしく振り向く日があるのさ」と歌う様子に目頭が熱くなりました。

演出の仕方、俳優陣の演技力で、高校時代の彼女たちが成長して、現在の姿になっていることが簡単に信じられるというのが舞台の面白さだと感じます。

また、H2Oの「想い出がいっぱい」のシーンのように、興味深いのがジュークボックスミュージカルならではの音楽の使われ方。80年代の音楽番組のような始まりで披露される「センチメンタルジャーニー」や、奈美と千夏が“久しぶりに歌おうよ!”と歌い出す、デュエットが美しい「待つわ」など歌を歌のまま楽しめる楽曲は、思わず身体がノってしまいます。

そして、癌に侵されていく千夏が歌う「飾りじゃないのよ涙は」など、よく知っている曲だからこそ、ストーリーにふとリンクした歌詞が見つかる楽曲は、より心が動かされます。

舞台版ならではの演出というと、田舎から都内の高校に転校してきた奈美は青森出身ということで、高校時代の奈美を演じる渡邉さんは青森弁を披露。ピュアで可愛らしい奈美を好演しました。

また、みどりの旦那に復讐する場面や、奈美の娘を助ける場面など、原作映画を元にしつつ、舞台版ならでは、現代ならではのものに変更。

原作映画で印象深い“音楽喫茶”のシーンは、ミラーボールが輝くディスコへと変化し、原作映画のファンの方も新たに作品を楽しめる要素がたくさん散りばめられています!

作品の軸である現在と過去のSUNNYを演じる10名の他に、特に注目したい3名のキャストが。制作発表の際に「探偵役の他8役務める」と話していた片桐さん。奈美が恋する大学生役以外の男性役全てを片桐さんが演じており、ハケては新しい役で出てくるため思わず笑ってしまいます。演じているキャラクターのそれぞれが個性豊かに演じ分けられており、片桐さんの演技の幅に感服です。

そして、SUNNYの6人目のメンバーで本作のキーパーソンともいえる芽衣子を演じる伊藤友惠さん。自分がしっかりとあり、クールビューティー。そして、じつは誰よりも正義感のがある芽衣子を好演。

「台風我亜瑠」のリーダー・美樹を演じる伊藤彩夏さんの狂気的な芝居にも注目です!

作品のフィナーレでは、「ダンシングヒーロー」や「二億四千万の瞳」をはじめとする“懐メロ”がショーのように披露されます。作中では“タコ踊り”と揶揄される奈美のダンスですが、ここでは打って変わってキレキレのダンスを披露する渡邉さんを観る事ができます!

青春時代を過ごした全ての人たちに刺さるミュージカル『SUNNY』は、6月26日(月)〜7月5日(水) に東京・東京建物 Brillia HALLにて、7月9日(日)〜13日(木)に大阪・梅田芸術シアター・ドラマシティにて上演予定です。詳細は公式HPよりご確認ください。

ミワ

観終わってからもじんわりとあたたかい気持ちの余韻が残り、ついつい「SUNNY」を口ずさんでしまいます。過去のキラキラした青春時代を思い出し、今を生きる自分達の背中を押してくれる、そんな作品です。ぜひ劇場でご覧ください!