なぜ四角い形の劇場が多いのか、考えたことはありますか?劇団四季のキャッツシアターや、IHIステージアラウンドのように、円形をした劇場も近年少しずつ増えてきていますよね!今日は、劇場のカタチについて少し考えてみましょう!
01 役者が演じ、観客が想像することで成り立つ演劇
円形劇場とはその名の通り、劇場を空から見た時に円の形をしている劇場のこと。ローマにあるコロッセオをイメージしてもらうとわかりやすいですね。この円形劇場、最近出てきた新しい劇場の形なのかと思いきや、実は大昔は、劇場といえば円形劇場だったのです!
かつての劇場では、今ほど大道具が発達していませんでした。例えばイギリスを代表する劇作家、シェイクスピアが活躍した1500年代後半、舞台の上には大掛かりな大道具はひとつもなく、なんなら劇場には屋根もありませんでした。観客は何もない舞台にお城や花畑を見て、真昼の太陽の下で夜を想像するしかなかったのです。
02 役者の言葉を伝えるための円形劇場
ではなぜこの時代、円という形が選ばれたのでしょうか?先ほどご紹介した通り、当時の観客は見ている風景から劇を楽しむのではなく、役者が発する言葉から想像することで劇を楽しんでいました。つまり当時劇場を作る上で重視されたのは、役者がいかに観客に言葉を伝えやすい劇場にするか、ということなのです。
当時の劇場は、円形の平土間に小さな舞台が突き出している形をとっていました。必然的に、舞台のどこに立っても観客との距離が近くなるため、役者はその分観客に語りかけながら芝居をすることが可能になります。円形劇場の魅力はなんといっても、役者の言葉を観客に伝えやすいことなのです。
17世紀に入ってくると、大道具などが発達してくるようになり、今度は視覚でも楽しむ演劇へと変わってきました。それに合わせて劇場も円形ではなく、舞台を広く取れる四角へと変化した、というわけなのです。
近年の円形劇場は、かつてのものとはまた異なるカタチをしていますね!ステージアラウンドに至っては、客席が舞台に囲まれており、さらには客席自身が回転するというので驚きです!アーティストの路上ライブがどことなく私たちの心揺さぶるのも、観客との距離に起因しているのかも…?作品だけでなく、上演される劇場のスタイルにも注目してみると楽しみが深まりますね。