2022年、韓国の地上波で放送後、Netflixで独占配信され日本でも大きな話題を呼んだドラマ「39歳」。世界初の舞台化に挑むのは、宝塚歌劇団で本作の主人公たち同様に10代の頃から友情を築いた朝夏まなとさん、七海ひろきさん、夢咲ねねさんです。元々ドラマの大ファンであったというチャ・ミジョ役の朝夏まなとさんに、本作の魅力を伺いました。

“完璧な女性”に見えるミジョが抱える孤独

−韓国ドラマ「39歳」はご覧になっていましたか?
「はい、チャ・ミジョを演じたソン・イェジンさんが好きで見始めたのですが、ちょうどその時の自分が39歳だったので、すごくタイムリーな作品だなという印象を持ちました。
20代の頃は40歳がもっと大人に見えていたのに、いざ自分が40歳を間近にしてみると、何も変わっていないと当時感じていて。でも周りの同級生は結婚して子どもができて…と環境が変化していて、自分が年齢や変化に順応できていないんじゃないか。そんな悩みをちょうど抱えていた頃だったので、『39歳』がとてもリアルに刺さりました。
大切な人の死という重い題材を扱いながらも、とても優しく寄り添ってくれる作品だと感じます。最初に誰かが亡くなることは明かされていたのに、すごくストーリーに惹き込まれましたし、作品に入り込んで号泣しながら見ていましたね」

−本作が舞台化されるという話を聞いていかがでしたか。
「すごく好きな作品だったので“あれをやるんですか?!”と驚きましたし、出演できるのがとても嬉しかったです。普段、自分が出演する作品は自分の生活とは離れた設定の物語や役柄が多いのですが、すごく身近なリアルな物語なので、今までやったことのないタイプの作品だなと思いました。より実体験や自分自身を使って創っていく作品になりそうですし、今まで出してこなかった引き出しが使えそうだなと思います。
私が演じるチャ・ミジョの心情や、なぜその選択をするのかというのがよく分かるし、実は、彼女が好きなラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」は私も大好きで昔からよく聴いていた楽曲なんです。ドラマで見た時に一緒だなと勝手にシンパシーを感じていました」

−チャ・ミジョのキャラクター像を現時点ではどのように捉えていらっしゃいますか。
「彼女は美容クリニックの院長という、一見成功した完璧な人に見えますが、見た目だけでは判断できない、心の傷を抱えています。パニック障害であることや、児童養護施設で育ったこと、そして39歳のリアルな心の葛藤。人っていつも自分の内面をさらけ出して生きているわけではないから、話してみたら“そんなことを思っていたのね”と意外な一面が見えてくるものですよね。
一方で、養子縁組をされてから家族からはたくさんの愛情を持って育ててもらっていて、それが人を思いやれる温かさや、友達を守る強い正義感に繋がっていると思います。友達とはふざける一面もあって、すごく魅力的な人ですね。舞台ではドラマほど長い時間で見せることはできないですけれども、今回は宝塚時代から一緒の2人とご一緒できるということで、3人の友情が時間をかけずとも伝わる空気感は出来上がっていると思うので、それを上手く活かして作品の世界観の中で生きたいです」

“魂が震える瞬間”を毎公演届けたい

−ミジョの親友であるチョン・チャニョン、チャン・ジュヒを演じるのは、宝塚で1期下の七海ひろきさん、夢咲ねねさんです。
「かいちゃん(七海さん)とは宝塚時代にたくさん一緒に作品をやっていて、ボーイッシュな印象でありながら、私は甘えん坊な部分を知っています。退団後は独自の道を切り拓いていっている姿がすごくかっこいいなと思いますし、チャニョンにぴったりだなと感じています。ねねちゃんは宝塚時代にはそんなに同じ舞台に立つことはなかったのですが、退団後に親友役で共演させていただいて、その時に旅行に行ったり、稽古場でもずっと一緒にいたりしたのが思い出深いです。大好きなお2人と一緒なので楽しい現場になりそうです」

−ミジョ、チャニョン、ジュヒは高校生からの親友ですが、朝夏さんにもそういう存在はいらっしゃいますか。
「やはり宝塚の同期というのは、10代の頃から一緒なので今でも喋っていると10代の頃のままのような感覚になります。大人になってから知り合う人とはまた違う関係性ですし、自分がすごく素でいられるので、何物にも変えがたい宝だと感じますね。きっと皆さんにそういう記憶があるからこそ、この作品が刺さるんじゃないかと思います」

−本作には親友同士の温かい友情が描かれながら、死という重い題材を扱った作品でもあります。
「舞台となると、稽古と公演数を重ねなければいけないので、毎回耐えられるのかというのは心配な部分です。ただその日その1回しかご覧にならないお客様のために、そして自分たちのためにも、常に新鮮な気持ちで臨みたいですし、魂が震える瞬間を毎回作りたいです」

−演出を手がける小山ゆうなさんの印象はいかがですか。
「ビジュアル撮影の時にお話しして、この作品を女性が演出するのは素敵だなと改めて感じました。これまで小山さんが演出された作品を何本か拝見したことがあるのですが、各キャラクターの繊細な心情が浮き彫りになってくる印象を受けたので、今回もこの作品を日本のお客様に届けるにあたって、繊細さが丁寧に描かれるんじゃないかと楽しみです。“内面や設定などはもちろん原作に忠実に行きますがドラマ同様に、俳優本人に似合うものを”とおっしゃっていたので、色々お話ししながら創っていければと思います」

母との別れを経て出会った『39歳』

−本作では39歳というのがそれぞれのターニングポイントの年齢として描かれます。朝夏さんご自身がターニングポイントになった年齢はありますか?
「お仕事の面で言えば、宝塚を卒業した33歳は第二の人生が始まった歳だと思います。自分自身としては、39歳になる前に母が亡くなったのが大きかったです。身近な人の死というのを初めて経験しましたし、まだまだ先のことだと思っていたのでショックが大きく、これまではあまり公言してきませんでした。自分の中で蓋をしていた部分でもあったと思います。
だから大切な人を失うミジョにはすごく共感ができるんです。人生は有限であるということを実感しました。でも母がいたからずっと仕事を続けてこられたし、仕事をしている姿を見るのが生きがいだと言ってくれていたので、それが今でも原動力になっています。立ち直ったタイミングでこの作品と出会うというのも、“今なんだな”と運命的なものを感じますね」

−きっと多くの同世代の方が共感される作品になると思います。
「人生に寄り添ってくれる作品なので、どう受け取るかは、その人次第で良いですが、少しでも何かを感じるきっかけになってくれたら嬉しいです。身近な人を大切にしようとか、自分の人生を自分らしく生きようとか。リアルに生で人間が演じるからこそ、温かい温度を届けられたら良いですね。同世代はもちろん、若い世代の方にもぜひ観に来ていただきたいです。また作品に出てくる男性たちもとっても素敵なので、魅力的なキャラクターたちと、優しい世界観を楽しんでいただければと思います」

音楽劇『39歳』は2026年9月5日(土)から9月13日(日)までIMM THEATER、9月18日(金)から9月24日(木)まで梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演が行われます。公式HPはこちら

チケットぴあでのチケット購入はこちら<PR>
撮影:蓮見徹、ヘアメイク:タナベ コウタ(atelier decopa)、スタイリスト:加藤万紀子
グレーサロペット\59,400(デパリエ/デパリエ 伊勢丹新宿店TEL:03-3351-0005)ネックレス\338,800(ニナ リッチ/エスジェイ ジュエリーTEL:03-3847-9903)ピアス\1,980,000(ルシオール/レ・ジュワイヨ ダイイチTEL:0795-22-2006)
Yurika

朝夏さんのとてもプライベートなお母様とのお話をしていただき、本作に今、出会われた運命を強く感じました。ドラマ「39歳」は夢中になって観ていた(そして号泣していた)作品だったので、日本で上演されることが嬉しいです。ミジョ、チャニョン、ジュヒの3人組、ぴったりの配役ですよね…!またドラマを見返して、楽しみに上演を待ちたいと思います。