約400年前の史実を基に、ベトナムの姫と日本の商人との愛を描くミュージカル『アニオー姫』~Hẹn gặp lại 再び~ が、2026年9月にKAAT神奈川芸術劇場にて世界初演を迎えます。
400年前の史実から生まれた愛と絆のオリジナルミュージカル
『アニオー姫』~Hẹn gặp lại 再び~は、2023年に日越外交関係樹立50周年を記念して制作されたオペラ『アニオー姫』をベースとするオリジナルの新作ミュージカルです。今から400年も前に日本人とベトナム人が海を越えて結ばれ、共に生きた実話が題材となっています。
17世紀初頭の日本では、江戸幕府より海外渡航の許可証として朱印状を与えられた商人が東南アジア方面に船を出して交易を行っていました。この朱印船貿易に携わっていたのが、長崎の商人・荒木宗太郎です。彼は現在のべトナム中部にあたるクアンナム国で王女のゴックホア(玉華)姫と出会い、恋に落ちます。
やがて2人は王の許しを得て結婚し、長崎で暮らすことに。ゴックホア姫は長崎の人々から親しみを込めて「アニオーさん」と呼ばれるようになり、嫁ぎ先の地で生涯を送りました。姫が輿入れする様子は、長崎の伝統的な祭「長崎くんち」において7年に1度、「御朱印船」の演目で再現され続けています。
本作は今なお語り継がれる史実から着想を得て、生まれた国や身分の違う2人がさまざまな壁を乗り越えて互いに認め合い、心を通わせる尊さを描いています。
また、サブタイトルの「Hẹn gặp lại(ヘンガップライ)」とは、ベトナム語で「また会いましょう」や「再会」を意味する言葉。鎖国政策によりアニオー姫は祖国と自由に行き来できなくなりますが、それでも希望を失わず、愛する人たちと一緒に生き抜こうとします。そんなアニオー姫の姿を観ていると、人と人との間に生まれる絆を信じ、未来へつないでいきたいという想いが湧いてきます。
<あらすじ>
あの日の出逢いから、すべてが愛しい日々。
17世紀初頭の大航海時代。交易で賑わう港町ホイアンで、日本の長崎からやってきた商人荒木宗太郎と、人々に愛される王女ゴックホア姫とが運命的に出逢う。好奇心旺盛なお転婆姫と、海を越えて夢を追う宗太郎。二人は、国も身分も越えて心を通わせていく。
港町にあふれる笑い声、賑やかな仲間たち。嫁いだ先の長崎の町で、姫は「アニオーさん」と呼ばれ親しまれながら幸せに暮らしていた。その矢先、鎖国という時代の荒波が襲いかかる。それでも、二人は希望を胸に抱き、流れゆく時のなかで、愛する人たちと未来を紡ぎ続けていく。
日本とベトナムのクリエイターが共創
本作では、総監督の大山大輔さんが演出と台本、日本語の作詞を担います。大山さんは、これまでオペラ歌手として『セビリャの理髪師』『魔笛』『メリー・ウィドウ』など数々の名作オペラやオペレッタに出演してきました。
一方で、野田秀樹さんが演出したモーツァルト/歌劇『フィガロの結婚』〜庭師は見た!〜のフィガ郎役や、手塚治虫さんの漫画を原作に宮川彬良さんが作曲した第7回浜松市民オペラ 歌劇『ブラック・ジャック』のタイトルロール、2017年に第55回大阪国際フェスティバルの一環で上演されたレナード・バーンスタインの大作『ミサ』のセレブラント役など、独自性の強いオペラ作品にも挑戦。
2026年2月にはハリー・ロスさんの台本、藤倉大さんの作曲によるオペラ『The Great Wave』の主役・葛飾北斎役を務め、スコットランドの国立オペラ・カンパニーであるスコティッシュ・オペラでのデビューを果たしました。また、劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』にファントム役で客演するなど、役者としても才能を発揮。
こうしたジャンルを超えた豊富な舞台経験から、台本執筆や演出、歌唱演技指導の分野にも活躍の場を広げています。2019年にカンボジア・プノンペンで上演されたプッチーニのオペラでは総合演出を担当し、現地初となるオペラ公演の開催に貢献。そして、2023年のオペラ『アニオー姫』でも台本執筆と演出、全幕字幕を含む作詞を手掛け、世界初演の成功を支えました。今回のミュージカル版はオペラ版と並び立つ作品となるように制作中だといい、どのように舞台を立ち上げていくのか楽しみになります。
作曲を手掛けるのは、オペラ『アニオー姫』でもその手腕を発揮した作曲家・音楽プロデューサーのチャン・マィン・フンさん。2007年から3年連続でベトナム音楽家協会による最優秀作曲賞を受賞したほか、ベトナム国内で多数の賞を獲得しています。
また、台本とベトナム語の作詞は、ジャーナリストに作家、作曲家、アートキュレーターと多彩な肩書を持つハー・クアン・ミンさんが担当。
そしてミュージカル化にあたり、俳優業のみならず演出・振付などプロデュースも精力的にこなす本間憲一さんを振付に迎えます。2025年に帝国劇場クローズに伴い開催されたCONCERT『THE BEST New HISTORY COMING』では振付スタッフとして参加。2026年6月19日からは振付・ステージングを担当した舞台『虹のかけら~もうひとりのジュディ』が開幕予定です。
日本とベトナムから才気あふれるクリエイターが集い、新たなアニオー姫の物語を創り上げます。
主人公とヒロインは実力確かなメンバーでのWキャスト
好奇心旺盛でお転婆なアニオー姫役はWキャストで、1人は元宝塚歌劇団の音くり寿さんです。音さんは花組の娘役として数々の重要な役を務め、退団後もミュージカルやストレートプレイ、音楽劇、リーディング公演と多岐にわたって活動。直近では2026年4月の舞台『Private Fears in Public Places』に出演し、歌唱力と表現力にますます磨きをかけています。
もう1人は、ベトナムでのオーディションで選ばれたドー・ファン・ザ・ハンさん。幼い頃より音楽に親しみ、2022年のミュージカル『不思議の国のアリス』でデビューすると、2023年にはシンガポールで開かれたアジア芸術フェスティバルで声楽部門銀賞を受賞しました。その後もベトナム国立音楽院の声楽科に首席で合格し、音楽に情熱を注ぎ続けています。
日本とベトナム、それぞれの地で努力を重ねてきた2人だからこそ、アニオー姫の人生を力強く演じてくれるでしょう。
アニオー姫と結婚する日本人商人・荒木宗太郎役もWキャストです。
1人目の田代万里生さんは、ミュージカルを中心に演劇界を引っ張る存在として活躍しています。東京藝術大学の音楽学部声楽科ではテノールを専攻し、在学中の2003年に東京室内歌劇場公演オペラ『欲望という名の電車』でオペラデビュー。2009年のミュージカル『マルグリット』でミュージカルにも進出し、2013年に第39回菊田一夫演劇賞を受賞しました。近年の主な出演作だけでも2025年のミュージカル『エリザベート』『ラブ・ネバー・ダイ』、2024年のミュージカル『モダン・ミリー』『カム フロム アウェイ』、2023年の『アナスタシア』『マチルダ』など、枚挙にいとまがありません。また、2026年6月まで上演中のミュージカル『レッドブック〜私は私を語るひと〜』では個性的な役に挑んでいます。
2人目は、幼少期より培ってきたダンス力に加え、豊かな表現力も併せ持つ小野田龍之介さん。2011年の「第1回シルヴェスター・リーヴァイ国際ミュージカル歌唱コンサート・コンクール」ではリーヴァイ特別賞を受賞し、歌唱力の高さも実証しています。ミュージカル『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』、『マチルダ』、『ピーター・パン』など多数の作品で実力を発揮。ミュージカル『メリー・ポピンズ』では、自身二度目となるバート役で出演し、6月に大千秋楽を迎えました。今後は7月に話題の韓国ミュージカル『ETERNITY』、12月にミュージカル『ミー&マイガール』への出演が控えています。
また、アニオー姫の父であるグエン役は、劇団四季を経て数々のミュージカルに出演して唯一無二の存在感を放つ今井清隆さん。そのお妃役には、劇団四季出身の舞台俳優である吉沢梨絵さんがキャスティング。
運命の占い師役として登場するのは、劇団四季で多数のヒロインを演じ、退団後は舞台やコンサートなど幅広く活動している井料瑠美さんです。
アニオー姫と宗太郎の娘・家須(ヤス)役は、大越やよいさんと鈴木楓加さんのWキャスト。
さらに、劇団四季出身で舞台から映像作品まで多彩に活躍する栗原英雄さんが長崎奉行役、2026年のミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』に出演した戸井勝海さんがベトナムの大臣役に。そしてアニオー姫には3人の幼馴染がおり、それぞれ斎藤准一郎さんがコアイを、蛭牟田実里さんがネップを、ホアン・フォン・リンさんがバウを演じます。
このほか、お松役の淺場万矢さん、連隊長役の藤浦功一さん、宗右衛門役の廣瀬喜一さん、通訳役の村上幸央さん、弥助役の武藤寛さん、八兵衛役の森山大輔さんが出演。
さらに、石田優月さん、今村心音さん、牛丸颯希さん、篠田果鈴さん、上西郷太さん、傳法谷みずきさん、中村ひかりさん、楢原じゅんやさん、矢野友実さん、山下麗奈さんが名を連ねています。
ミュージカル『アニオー姫』~ Hẹn gặp lại 再び~は、2026年9月11日(金)のプレビュー公演を経て、9月12日(土)から27日(日)まで神奈川県のKAAT神奈川芸術劇場にて上演されます。チケットの一般発売は6月13日(土)より開始。詳細は公式HPをご確認ください。
江戸時代に祖国を離れて長崎へ嫁いだベトナムの王女がいたという話を、今回初めて知りました。大切な人を愛し、希望を抱き続けたアニオー姫の物語は、時を越えて現代を生きる私たちの胸にも響くのではないでしょうか。



















