作・演出を谷賢一さんが務めた劇団DULL-COLORED POPの第23回公演『丘の上、ねむのき産婦人科』。妊娠をテーマに数十名に取材をし、7つの連作エピソードにまとめたという本作は、8〜9月に東京・大阪公演が実施され現在オンライン配信中。幸せなだけではない、妊娠について深く考えさせられる作品です。(2021年9月・オンライン配信視聴)

小さな街で、様々な男女の視点から描く「妊娠」

田舎の街の丘の上にある、ねむのき産婦人科。そこには様々な事情を抱えた男女がロビーに座っています。そこから展開されていくのは、ねむのき産婦人科に通っているという共通項を持った6組の男女の物語。お金がなくて妊娠に戸惑っている若者もいれば、仕事に打ち込む妻と主夫のすれ違い、今どきらしく(?)ビジネスライクに結婚・妊娠を整理し出す男女、年上の夫とのジェンダーギャップ、不妊治療など…。同じ「妊娠」がテーマでも、12人の男女の視点は全く異なります。

筆者は和やかなイメージのフライヤー画像とタイトルから、妊娠・出産の幸せを描いた作品なのかと勝手に勘違いしていたため、作品を通して浮き彫りになってくる妊娠を巡る切なさ、やるせなさにびっくり。まだ出産経験のない筆者には“妊娠は色々と大変なんだなぁ”と辛い気持ちになってしまいました。

ただ、それぞれの男女が抱えるのは、紛れもない現代の問題です。時代の移り変わりと共に様々な問題が出てくるものですが、命が生まれるということはいつの時代でも人生を変えるような大きな出来事だと感じました。

男女入れ替えキャストで配信中

「自分と異なる性/生を想像する」がテーマの本作では、女性が女性・男性が男性を演じる「A」公演と、女性が男性・男性が女性を演じる「B」公演が配信されています。撮影日を本番とは別に設けて5カメで撮影されており、寄り・引きや様々なアングルで楽しめます。しかし、背景に投影された映像が少し見にくかったのが気になりました。

Yurika

演劇がどんな感じか気になっている、劇団DULL-COLORED POPが気になっている、妊娠について描いた作品に興味がある、男女が入れ替わる公演が気になる!という方は、ぜひ9月26日までにご購入してみてはいかがでしょうか。座談会などが収録された特典付きチケットもあります。公式HPはこちら