2001年9月11日。アメリカ同時多発テロ事件が発生した「あの日」の記憶は今もなお生々しく語り継がれています。その中には、惨劇のさなかでも支え合い、優しさと希望を分け合った人々の物語がありました。事件から20年が経つ2021年9月10日にApple TV+で配信開始されたミュージカル『カム・フロム・アウェイ』は、「あの日」にたまたま空を飛んでいた7000人の乗客の実話を描いた作品です。
あらすじ
『カム・フロム・アウェイ』はテロ事件発生によりカナダの離島に緊急着陸することになった7000人の人々と、突然7000人の客人を受け入れることになった島の人々の交流を描いたミュージカルです。作品の内容については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
配信ならではの臨場感
『カム・フロム・アウェイ』の魅力の一つは、一人何役もこなす役者陣の演技力。ひとりひとりの顔にクローズアップできる映像だからこそ、役が入れ替わる瞬間を楽しむことができます。表情ひとつでガラッと雰囲気が変わるため、終盤まで同じ俳優が演じていることに気が付かないことも。ブロードウェイ俳優の圧倒的な演技力をぜひ感じてほしいです。
また、緻密に計算され尽くされた演出も見どころのひとつ。簡素なセットと少しの小道具を駆使し、あっという間に場面転換をしてみせ、演劇という表現形態の魅力をフルに引き出します。配信映像はまるで役者陣と一緒に舞台に乗っているように撮られており、「実はここで小道具を取り出していたのか!」などといった発見も多々あります。実際の観劇では決して見ることのない、レアな角度での鑑賞をお楽しみください。
今だからこそ観るべき理由
本作では、文化も信仰も違う他人に対する寛容さや、言語の壁を乗り越えたコミュニケーションの尊さが描かれています。その一方で、社会に根強く残る偏見や警戒心も暴かれます。
「あの日」から20年が経った今の世界は、果たして何か変わったのでしょうか。現代を生きる私たちは、たとえ自分や家族の命が脅かされる状況でも、他人の文化や信条をしっかりと尊重できるでしょうか。この離島の人々が飛行機の乗客たちに見せた暖かさを自分も実践したい。実践できる人間になりたいと強く思わされる作品です。
Apple TV+は7日間の無料トライアルの後、600円/月で視聴可能です。また、Apple Musicに加入している学生であれば追加料金なしで利用可能です。ぜひ一度『カム・フロム・アウェイ』を見てみてください。