ドラマ『ブラッシュアップライフ』で主人公・麻美の人生1周目の初恋の相手であり、成人式でのカラオケで「粉雪」を熱唱する「加藤」が話題の俳優・宮下雄也さん。舞台『宝飾時計』映画『もっと超越したところへ。』で今熱い支持を集める根本宗子さんが主催する舞台・月刊『根本宗子』に出演、フットボールアワー岩尾望さんコントライブ、脚本・演出家 川尻恵太さん率いるMASHIKAKUのコントライブ出演など、多方面から愛される俳優・宮下雄也さんの魅力に迫ります!

インパクトに残る「粉雪は加藤」誕生秘話とは?

−ドラマ『ブラッシュアップライフ』の「粉雪は加藤」がすごい反響ですね。

「ありがたいですね。舞台の稽古でも役者のみんなから“見ているよ”と言ってもらって、日々反響を感じています」

撮影:山本春花

−役作りで意識したポイントはあったのでしょうか?

「舞台でもインパクト勝負な役が多いので、1発目出てきた時のインパクトの残し方は大切に芝居しています。衣装合わせや打ち合わせをした日に、たまたま暑くて汗だくになってしまって、監督やプロデューサーさんと“汗かいている感じええなあ”という話になったんです。それで薄着で汗だくで粉雪を熱唱している加藤が出来上がりました。自分でも見た目が強烈だなと思って、22時半台のお茶の間に耐えられるのかな?と不安だったのですが、良い反響を頂いて嬉しいです」

−ドラマ『ブラッシュアップライフ』の魅力はどのようなところだと感じられていますか?

「僕は1985年生まれなので、プリクラ帳やパカパカケータイとか、懐かしい小ネタが散りばめられているのはとても魅力だなと感じますね。カラオケの選曲も「イケナイ太陽」や「粉雪」ってあるあるですよね。同世代のキャストが多いので、みんなでどんな芸人が流行ったっけ?とか懐かしい話で盛り上がって、監督がシーンに取り入れるなど、現場の空気から生まれているネタもあります」

岩崎う大さんに直談判で劇団かもめんたる出演が決定?!

撮影:山本春花

−劇団かもめんたるの舞台『奇事故』でも独特の存在感で作品を牽引していましたが、劇団かもめんたるとの出会いは?

「劇団かもめんたるの舞台に出演したのは、2021年の『君とならどんな夕暮れも怖くない』が初めてです。実は岩崎う大さんが発売された漫画が面白いと呟いたらう大さんがいいねしてくださったので、劇団かもめんたるに出たいですと直談判したことが始まりなんです。作品を観に行かせて頂いて、僕の出演作品の資料もお送りして、そこからご縁が始まりました」

−『奇事故』でも印象的な役柄でした。

「関西弁のYouTuberのストーリーテラーということで、当てがきで書いていただきました。さぶいぼラジオという実在のチャンネルがあって、僕がう大さんから見るように言われた時は登録者数70人くらいだったのでどうやって見つけたのかなと疑問だったのですが、そのチャンネルをモデルに役を作っていきました。

あとF丸という新興宗教の教祖の役もやったのですが、セリフがマジで意味がわからないんですよ。こんなに覚えられない台本はなかったです。

“アルファベットのFに丸いと書いてF丸。昔はエフマローションとか筑前の方でやってたんですよ。近辺の付近で…”みたいな具合で、意味がわからないじゃないですか(笑)。日本語になってないですよね。台詞覚え早い方なんですけど、意味がわからなすぎたら入らないんだなと思いましたね。でもう大さんと稽古すると、“仕方ねえなあ素人に教えてやるかという感じで”とか1つ1つの台詞に意味がちゃんとあったので、すごいなあと思いましたね」

撮影:山本春花

−劇団かもめんたるの特徴はどんなところにありますか?

「特に劇団かもめんたるさんは他の舞台作品よりも演出が細かいと感じますね。う大さんの作品に対する情熱が凄いので、1つのシーンの集中稽古もありますし、稽古しながら勉強にもなります。芸人さんということは忘れてしまうくらい、ものすごい演出家です」

芸人さんには敵わない。役者として、コントライブに参加する

撮影:山本春花

−先日までは、フットボールアワー岩尾望さんのコントライブにもご出演されていました。

「岩尾さんとはずっとコントライブに呼んで頂いていますね。10年くらいお世話になっていて、岩尾さんが出張で留守の時は、岩尾さんの愛犬のお世話しているくらい(笑)。近い関係性ですね。う大さんとはまた全然違う世界観の作品を作るので、いつも楽しんでいます」

−コントライブだからこそ、心がけていることはありますか?

「僕は自分の中のテーマとして、芸人さんには敵わないという、芸人さんへの尊敬が強くあるんです。だからコントに呼ばれたからと言って面白おかしくやってやろうとは一切考えず、他の舞台と同様にただ与えられた台詞を真剣にやる。それを心がけています」

−26日までは脚本・演出家 川尻恵太さん率いるMASHIKAKUコントライブ『ハイスタンダード』に出演中。こちらについても教えてください。

「今までの役者生活の中で、過去最小の台詞量ですね。言葉というより動きでおもろい感じ。普通ではありえないような演出もあるので、昔のバラエティ番組を見る感覚で見にきてほしいです」

距離感、空気、熱量が演劇の魅力。目指すはマリオ?!

撮影:山本春花

−多忙な中で、毎月トークイベントも開催されていますよね。

「元々人が好きで、ラジオもよく聞いたりするので、おしゃべりする場所が欲しいなと思ったんです。でもただ普通にやるだけでは面白くないので、演出家やミュージシャン・漫画家・音響など様々な文化人のプロフェッショナルなお話を聞くトークイベントを開催しました。

やっていくうちに気づいたのは、僕は舞台でアドリブ求められることが多いので、即興力を身につけられるんじゃないかなということです。イベントなので、お芝居とは違ってどう話を展開していくかはアドリブ。俳優としてのアドリブ技術も手に入れることができるのかなと思って毎月ずっとやっています。

自分が書いた漫画をお客さんに無理やり見せたり(笑)、RPGゲームを自作で作って遊んでもらったり。楽しくやらせてもらっていますね」

−演劇ならではの面白さはどんなところにあると思いますか?

「距離感ですよね。空気、熱量。生身の人間がダイレクトに、その日のために物語を伝える空間は、どんなに時代が進化しても無くならないものだと思っているし、そう思いたいですね。スベった空気とかもたまらないですからね(笑)

中屋敷法仁(柿喰う客)さん演出の朗読劇『僕とあいつの関ヶ原』に出た時、中屋敷さんに“ここで走り回ってなんかやってください”って言われて、絶体スベるだろうなと思いつつ、鬼才・中屋敷さんの言うことだからと思ってやったんですけど…初めて劇場の空調の音が聞こえたんです(笑)。これも生の醍醐味ですよね。あの時のお客さんにどう見えていたか聞きたいです(笑)」

撮影:山本春花

−今後どのような役者になっていきたいか、描いている役者像はありますか?

「この人のようになりたいとか、見本にしている俳優さんっていないんです。漫画とかゲームが好きなので、あえて言うならスーパーマリオみたいになりたいですね。一番働いていて、テニスまでやらされていますから(笑)。やり尽くして猫にまでなっちゃって…なんでもできますもんね。そのうちマリオのミュージカルとか出来そう。体型的にもマリオっぽいし、マリオくらいなんでもやる精神でいきたいですね。僕は今演劇が好きだしやりたいので、宮下雄也という範囲の中で出来ることはなんでもしていきたいです」

唯一無二の存在感を放つ宮下雄也さん。22日から26日までは銀座・博品館劇場にてMASHIKAKUコントライブ『ハイスタンダード』に出演中。作品の詳細はこちら

ドラマ『ブラッシュアップライフ』は日本テレビ毎週日曜22時30分放送中。過去の「粉雪は加藤」をチェックするならhuluで!(無料トライアル実施中)

Yurika

演劇への熱い想いと、それを楽しむ実力を持つ宮下さん。今後どんな作品でどんな姿を見せてくれるのか、見逃せませんね。