少しずつ暖かくなってきたら、劇場へ向かう足取りも軽くなる気がしませんか。今回は、2026年3月に東京で上演される演劇・ミュージカル作品をまとめました。日本初上陸の作品からドラマ・漫画・映画のミュージカル版まで、バラエティ豊かな作品が揃っています。
ミュージカル『ロマンティックス・アノニマス』甘く心ほどけるロマンティック・コメディが日本初上演

本作は、フランスを舞台に繊細でシャイな男女の恋を描いたロマンティック・コメディ。2010年公開のベルギー・フランス合作映画『Les Émotifs Anonymes』を原作として2017年にロンドンで初演され好評を得たミュージカルが、ついに日本で上演されます。
チョコレート工場の経営者であるジャン=ルネは、求人に応募してきたアンジェリークと一緒に働くうちに惹かれ合っていきます。しかしお互いに内気な性格で関係を深められずにいる一方で、工場の経営難は深刻化していき…。
日本版では、劇団四季のミュージカル『ノートルダムの鐘』や『ゴースト&レディ』などでも知られる世界的な演出家のスコット・シュワルツさんが演出を担当。ジャン役はアイドルグループ「KEY TO LIT」の岩﨑大昇さんで、2024年の『ニュージーズ』に続きミュージカルでの主演を務めます。また、アンジェリーク役は俳優だけでなく声優や歌手としての活躍も光る吉柳咲良さんです。不器用な2人の恋の行方を見守りに、劇場へ行ってみませんか。
ミュージカル『ロマンティックス・アノニマス』は、2026年3月1日(日)から24日(火)まで東京建物 Brillia HALLにて上演。ちなみに、入場時に配られるチョコレートは劇中で演出に使用するそうなので、舞台上から合図があるのをワクワクしながら待ちましょう。公式HPはこちら。
ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』格差社会に翻弄される双子を2ペアのWキャストが演じる

1983年にイギリスで初演されてから、現在も世界各地で上演され続けている本作。生き別れた双子がたどる数奇な運命の物語は、日本でも1991年以来何度も再演されてきました。
ミッキーとエディは、ジャンストン家で8番目に生まれた双子。生活の困窮からエディだけが裕福なライオンズ家に引き取られたものの、のちに再開した2人は固い友情を結びます。しかし時が経つにつれ、社会の格差によって彼らの人生は隔てられ、絆も揺らいでいきます。
東宝製作作品としてはおよそ17年ぶりに上演される今回、主人公の双子がそれぞれWキャストで、2つのペアに分かれるのが見どころです。一方のペアでは、2025年のミュージカル『フランケンシュタイン』にWキャストで主演した小林亮太さんがミッキーを、帝劇クロージング公演となった2024年のミュージカル『レ・ミゼラブル』でマリウス役を務めた山田健登さんがエディを演じます。もう一方では、2025年のミュージカル『デスノート THE MUSICAL』における主人公・夜神月役が記憶に新しい渡邉 蒼さんがミッキー役、2025年の『フランケンシュタイン』でアンリ・デュプレ/怪物役に挑んだ島 太星さんがエディ役に。4人とも名作や人気作の新キャストに抜擢されて注目を集めている若手俳優だけあって、個性とエネルギーがぶつかって起こる化学反応に期待が高まります。
ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』は、2026年3月9日(月)から4月2日(木)までシアタークリエにて上演されます。公式HPはこちら。
ミュージカル『ジキル&ハイド』日本で長く愛される人気作品が新キャストを迎え、演出も新たに再演

ミュージカル『ジキル&ハイド』は2001年の日本初演以来、フランク・ワイルドホーンの名曲とともに多くの人を惹きつけている作品です。
19世紀のロンドン、ヘンリー・ジキルが研究を重ねてきた「人間の悪を消し去る薬」を自ら試した結果、もうひとつの人格であるエドワード・ハイドが覚醒。1つの肉体に宿った2つの魂は衝突し、恋人や友人たちを巻き込みながら破滅へ向かって突き進んでいきます。
鹿賀丈史さん、石丸幹二さんによって受け継がれてきたジキル/ハイド役。本作では2023年に石丸さんとWキャストで共演してバトンを託された柿澤勇人さんが続投し、前回の経験を糧に「何が善で、何が悪なのか」という人間の内面により深く迫ります。
そして今回からWキャストでジキル/ハイド役を務めるのが、ボーカルグループ「LE VELVETS」の佐藤隆紀さんです。磨き抜かれた歌唱力を武器にミュージカル界でも活躍し、直近では『エリザベート』にフランツ・ヨーゼフ役で出演。2つの人格を演じ分ける難役とどう向き合うのか、目が離せません。
さらに美術や振付などが一新された新演出版となっており、初めて観る人はもちろん往年のファンにとっても期待が高まります。
ミュージカル『ジキル&ハイド』は、2026年3月15日(日)から29日(日)まで東京国際フォーラム ホールCで上演です。公式HPはこちら。
ミュージカル『破果』韓国発のアクションミュージカルで花總まりが女殺し屋役に挑む

韓国で2024年にミュージカル化され大きな反響を呼んだ話題作が、早くも日本に初上陸します。原作は、“60代女性の殺し屋”を主人公に据えて韓国でベストセラーとなった同名小説。ニューヨークタイムズによる「注目すべき本100選」にも選ばれ、日本を含む世界13ヵ国で翻訳されています。
プロの暗殺者として生きてきた爪角(チョガク)は身体の衰えから引退を決意。独りで余生を送るつもりが、他者と関わるにつれ守りたいものができていきます。そんな彼女に復讐を誓う者が現れ、人生で初めて誰かのために闘うことに。
爪角を演じるのは、日本ミュージカル界を牽引する俳優の1人として、『エリザベート』をはじめ数々の作品で唯一無二の存在感を放つ花總まりさんです。本作ではこれまで王妃や皇后を演じてきたイメージを覆す殺し屋という役、さらに激しい殺陣やアクションにも挑戦し、新境地を切り拓きます。
また、復讐に燃える青年・トウ役は、同じくミュージカル界の第一線を走り続ける浦井健治さん。実力派の2人が本格ミュージカルで共演するのは今回が初めてだといい、ますます見逃せません。
ミュージカル『破果(パグァ)』は、2026年3月7日(土)から22日(日)まで新国立劇場 中劇場で上演です。公式HPはこちら。
PARCO PRODUCE 2026『ジン・ロック・ライム』19世紀を代表する戯曲を大胆に再構築した意欲作

ノルウェーの劇作家イプセンによる戯曲『ヘッダ・ガブラー』を下敷きに、今ここに生きる人々の心に刺さるリアルな会話劇として新たな物語を立ち上げます。
人気ロックミュージシャンのジン、その妻で芸能事務所の社長のショウコ、ジンの元恋人であるエート。3人を巡る複雑な事情が登場人物たちの思惑と絡み合い、事態を思わぬ方向へと動かしていきます。
演劇集団「範宙遊泳」を率いる山本卓卓さんが、イプセンの代表作を現代的な視点から再構築。幅広いジャンルの作品を手掛けてきた演出家の白井晃さんと初めてタッグを組み、愛を求め認められたいともがく人間の本質を鋭く描き出します。
主演は、アイドルグループ「Hey! Say! JUMP」のメンバーである髙木雄也さん。近年ミュージカルや舞台に出演して俳優としての実績を積み、2024年の舞台『東京輪舞』では1人8役を演じ切りました。息苦しい世の中で理想と現実に挟まれ苦悩するジンの姿に、自分らしく生きるとはどういうことなのか、ぐっと考えさせられます。
PARCO PRODUCE 2026『ジン・ロック・ライム』は、2026年3月10日(火)から31日(火)までPARCO劇場にて上演されます。公式HPはこちら。
舞台『るつぼ The Crucible』現代にも通じる、17世紀の魔女裁判をもとにした衝撃の戯曲

1692年にマサチューセッツ州セイラムで実際に起きた魔女裁判を題材にした、劇作家アーサー・ミラーの代表作。真実と嘘がるつぼのように溶け合い、最後まで先の読めない物語が展開します。
時は17世紀、少女アビゲイルはかつて雇い主だった農夫ジョン・プロクターと関係を持ち、妻の座を奪おうと目論むように。やがて彼女は無実の村人を次々と“魔女”として告発し、村全体に恐怖と疑念が広がっていきます。
ジョン・プロクター役は、第48回 菊田一夫演劇賞を受賞、近年はミュージカル『ブラック・ジャック』や『ホリデイ・イン』で主演を務めた坂本昌行さん。演出を手掛ける演出家の上村聡史さんとは2度目のタッグとなります。魔女裁判と聞くとあまりに昔の出来事のように思えますが、誰か1人を吊し上げ攻撃する構図は、現代にも通ずるのではないでしょうか。だからこそ、今の時代に上演する意義を噛みしめたいです。
舞台『るつぼ The Crucible』は、2026年3月14日(土)から29日(日)まで東京芸術劇場プレイハウスにて上演されます。公式HPはこちら。
音楽劇『コーカサスの白墨の輪』人間とは一体何なのか、演劇を通じて探る未来への希望

ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトがナチスの弾圧を逃れて亡命生活を送る中で未来への希望を込めて書いた戯曲を原作に、未来の戦争が終わった後の物語として再構成した音楽劇です。
未来の世界で起こった内乱の最中、置き去りにされた“こども”を拾い、辺境の地で育てる決意をしたグルーシェ。しかし生みの母であるナテラが“こども”を連れ戻しにきたことで、どちらが真実の母親かを争う裁判が始まります。
本作を遥か先の未来から今より少し先の未来を振り返る形で描き直すのは、劇作家・演出家の瀬戸山美咲さんです。人工知能など現代社会にリンクする題材も織り込みながら、「人間とは何か」「何故人は争うのか」という普遍的な問いをカンパニー、そして観客に投げかけます。
キャストには、木下晴香さんや平間壮一さん、saraさんら確かな実力を誇る俳優陣が集結。なかでもグルーシェ役の木下晴香さんは2024年のミュージカル『レ・ミゼラブル』ファンテーヌ役や2023年の『アナスタシア』アーニャ役など自らの運命に立ち向かう女性を演じてきた経験を活かし、逆境に置かれてもぶれない芯の強さを見せてくれることでしょう。
音楽劇『コーカサスの白墨の輪』は、2026年3月12日(木)から30日(月)まで世田谷パブリックシアターで上演です。公式HPはこちら。
ロック音楽劇『ガウディ×ガウディ』ロッカーのW主演に注目。老ガウディが過去の自分と出会ったら

“ジュリー”の愛称で親しまれる歌手・俳優の沢田研二さんと劇作家・脚本家・演出家のマキノノゾミさんがタッグを組んで贈る音楽劇シリーズ。約9年ぶりの書き下ろし新作では、スペインの有名な建築家であるガウディの人生を情感豊かに描きます。
1924年のバルセロナにてサグラダ・ファミリアの建設に取り組む72歳のガウディは、ある夜、40年以上前の若き日の自分と遭遇します。青年ガウディを改心させ、人生をやり直そうとするガウディですが…。
沢田さんは自らの人生に後悔を滲ませる晩年のガウディを演じます。そんな老ガウディと対照的に、新進気鋭の建築家として明るい将来を夢見る若き日のガウディ、アントニ役を務めるのは俳優・ミュージシャンの渡辺大知さん。渡辺さんはロックバンド「黒猫CHELSEA」のボーカルでもあり、2人のロッカーによるW主演に注目です。
また、過去に沢田さんの楽曲のサウンドプロデュースをしていた白井良明さんが音楽を担当し、本作のためにオリジナルバンドを結成。ロック音楽劇の名にふさわしいサウンドで観客の心を揺さぶります。
ロック音楽劇『ガウディ×ガウディ』は2026年3月14日(土)から29日(日)までEX THEATER ROPPONGIにて上演されます。公式HPはこちら。
ミュージカル『ダブル・トラブル TAKE2 ~Hollywood Ending~』ハチャメチャコメディの続編が世界に先駆けて日本で開幕

ハリウッド映画界の裏側で奮闘する兄弟のドタバタ劇を描いたミュージカル『ダブル・トラブル』。たった2人の俳優が男女問わず10人以上もの役を演じ分ける驚きの構成で、日本では2021年から2023年まで3年連続で上演されるほど人気を博しました。その続編が、なんと日本で世界初演を迎えます。
物語は、作曲家の兄ジミーと作詞家の弟ボビーが4年ぶりにハリウッドに戻ってきたところから始まります。映画の新曲制作に取り掛かる2人ですが、主演女優が降板するわギャングの手下が近づいてくるわとトラブル続き。はたして無事に楽曲を完成させられるのか…。
本作の脚本と楽曲は『ダブル・トラブル』と同じくウォルトン兄弟による書き下ろし。さらに、演出家のウォーリー木下さんをはじめ日本版の初演に携わったクリエイター陣が再集結し、翻訳・訳詞には福田響志さんが加わります。
キャストには兄ジミー役で上口耕平さんと原田優一さん、弟ボビー役でふぉ~ゆ~の辰巳雄大さんと室龍太さんが登場。全員が『ダブル・トラブル』に出演経験があり、上口&辰巳コンビと原田&室コンビに分かれて観客を笑いに満ちた舞台へと誘います。
ミュージカル『ダブル・トラブル TAKE2 ~Hollywood Ending~』は2026年2月8日(日)に東京・タクトホームこもれびGRAFAREホールで開幕し、大阪公演を経て、2月20日(日)から3月8日(日)までI’M A SHOWにて上演予定となっています。公式HPはこちら。
ミュージカル『スキップとローファー』高校生の青春を温かい視点で描く漫画がミュージカルに!

高松美咲さんによる青春学園漫画『スキップとローファー』がミュージカルになります。
主人公の岩倉美津未(みつみ)は、石川県の小さな町から上京し、都内の進学校に首席で入学しました。不器用でちょっとズレているけれどまっすぐな彼女が人気者の志摩聡介と関わるようになり、次第にクラスメイトや周囲の人々の心にもあたたかな変化をもたらしていきます。
ヒロインの岩倉美津未役は、多彩なミュージカルに出演する一方で映画『ウィキッド ふたりの魔女』の日本語吹き替え版でグリンダ役を務めたことも話題となった清水美依紗さん。また、志摩聡介役に2025年にミュージカル『ジェイミー』や『SPY×FAMILY』に出演した吉高志音さんを迎え、高校生2人の等身大で繊細な関係を表現します。
何気ない日常の中で感じた気持ちを丁寧にすくい上げていくストーリーに、かつての高校生時代を思い出して共感する方も多いのでは。春も近づくこの季節にぴったりのミュージカルです。
ミュージカル『スキップとローファー』は、2026年3月6日(金)から15日(日)までシアターHにて上演されます。公式HPはこちら。
人気作の再演はもちろん楽しみなのですが、日本で初上演される作品や古典を独自の視点で捉える意欲作など「一体どんな物語なんだろう?」とどれも気になるものばかり。皆さんの観劇の参考になれば嬉しいです。


















