音楽座ミュージカルがイギリスの児童文学『A MONSTER CALLS』をミュージカル化し、『カイブツはささやく』として2026年10月および12月に上演します。劇団独自の創作システムで創り上げる8年ぶりの新作に注目です。

世界中で愛される児童文学が音楽座ミュージカルの新作に

『カイブツはささやく』は、児童文学の傑作と称えられる『A MONSTER CALLS(邦題:怪物はささやく)』をもとにしたミュージカルです。

原作小説はイギリスの作家シヴォーン・ダウトの未完の遺作を原案とし、パトリック・ネスが引き継いで完成させました。2012年にイギリスで最も古く権威ある児童文学賞のカーネギー賞とケイト・グリーナウェイ賞(現在はカーネギー画家賞)を同時受賞するという史上初の快挙を達成。世界的なベストセラーとなり、2017年に公開された映画版も高い評価を得ました。

物語では、病気の母と暮らす日常で矛盾した思いを抱える少年が、怪物との出会いを経て自分の心と向き合う過程が描かれます。受け入れがたい現実や相反する気持ちさえ人間を形成する一部であり、内包して生きていく先に見つけられるものもある。人間の内面に向けられた真摯なまなざしは、観客が自分自身を見つめ直すきっかけとなるかもしれません。

今回、「喪失と再生」というテーマを創作の核としてきた音楽座ミュージカルが『A MONSTER CALLS』を世界で初めてミュージカル化。8年ぶりの新作として、力強い歌とダンス、幻想的な舞台美術によって作品の世界観を立ち上げます。

また、本作は「令和8年度 文化庁 劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業」に採択。上演にあたって、18歳以下の子ども無料招待席と同伴者半額席を設けるなど、次世代に舞台芸術を体験する機会を作っています。親子揃って観劇し、感想を話し合う楽しみ方ができるのは素敵ですね。

<あらすじ>
江崎夜凪(ヨナ)は母と二人で暮らす13歳の少年。彼は学校や家庭で言葉にできない不安を抱えていた。そんなある夜、裏庭のイチイの木が“怪物”となって現れる。怪物はヨナに三つの物語を語り、最後に「お前自身の物語を語れ」と告げる。奇妙でどこか現実に触れるその物語を聞くうちに、ヨナの中で長く押し込めてきた想いが揺れ始める。悪夢が毎晩12時7分に現れる理由も、次第にその輪郭を見せていく。三つめの物語が終わり、ついにヨナが語る番が訪れる。ずっと胸の奥に隠してきた“自分の物語”とは何なのか。そして、彼が向き合おうとしている想いとは――。

日本の演劇界で進化し続ける劇団

音楽座ミュージカルは1987年に旗揚げして以来、オリジナルミュージカルを創作し続けている劇団です。創立者の相川レイ子さんは1988年に第1作目となる『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』を上演し、劇団の脚本家・演出家としての活動を開始。『とってもゴースト』『チェンジ』『ラブ・レター』など全12作品を通じて、「生きる」ことの根源を問いかけ続けました。

2016年からは相川タローさんが代表を継ぎ、『グッバイマイダーリン★』や『SUNDAY』など、一貫してオリジナリティ溢れる作品を発表しています。

創作のプロセスでは、ワームホールプロジェクトと呼ばれる独自のシステムを採用。プロデューサーから俳優、スタッフまで舞台に関わるメンバー全員の意見を掛け合わせ、新しい視点を導き出すところが特長です。ひとりひとりが当事者として決断に責任を持つことで現場が活性化され、唯一無二の作品を生み出す土壌が培われています。

これまでに文化庁芸術祭賞や紀伊國屋演劇賞、読売演劇大賞など数多くの演劇賞を受賞。2022年には『ラブ・レター』の演技が評価され、劇団員の小林啓也さんが2022 All Aboutミュージカル・アワードの主演男優賞を獲得しました。また、「Audience」が2025年の上演作品を対象に開催した第4回Audience Awardでは、2025年版『リトルプリンス』が脚本部門大賞・楽曲部門大賞を受賞し、リバイバル作品部門第2位にも選出。1993年の初演より音楽座ミュージカルを代表する人気作が、今なお観客に愛されていることがよくわかります。

ちなみに現在、1992年に初演されて「日本のオリジナルミュージカルの到達点」と評された『アイ・ラブ・坊っちゃん』の東宝版が、井上芳雄さんの主演で6月28日までツアー公演中です。

さらに7月より、18年ぶりの上演となる『マドモアゼル・モーツァルト』の劇団公演が全国各地を巡ります。音楽担当の小室哲哉さんが再演にあたって新曲を制作したことでも話題を集めており、音楽座ミュージカルの進化から目が離せません。

“自分のこと”として受け止められるストーリーを贈る

本作の脚本・演出は、代表の相川タローさんを中心とするワームホールプロジェクトが手掛けます。

原作小説の設定は外国なのですが、今回は舞台を日本に移し、登場人物の名前も日本名に変更。大切な人を失うかもしれない状況で揺れ動く心の機微を、別の世界で起こっている“他人事”ではなく、“自分のこと”として観客に伝えようとしています。

音楽座ミュージカルの俳優陣が、役を演じるというよりも役の人生を生きているからこそ、観客も自分と重なる部分を自然に見出せるのではないでしょうか。

現時点でのキャスト候補は、以下の通り。大胆な演技とのびやかな歌声で劇団公演の主要な役を務める森 彩香さんをはじめ、個性と実力を併せ持つ劇団員が名を連ねます。

ヨナ役は梅村 匠さん、小林啓也さん、森 彩香さん、山西菜音さん。

カイブツ役は大須賀勇登さん、新木啓介さん、藤田将範さん。

ヨナの母役は岡崎かのんさん、清田和美さん、森 彩香さん。

父役は安中淳也さん、泉 陸さん、藤田将範さん。

おばあちゃん役は井田安寿さん、兼崎ひろみさん、清田和美さん。

リリ役は北田実桃さん、中橋天音さん、藤原しおりさん、森 彩香さん、山西菜音さん。

ヨシヤ役は大須賀勇登さん、小林啓也さん、山口大介さん。

そして先生役には井田安寿さん、北村しょう子さん、清田和美さん、森 彩香さんが挙げられています。

ミュージカル『カイブツはささやく』は、2026年10月11日(日)に大田区民ホール・アプリコで大田区プレビュー公演を実施。その後、12月11日(金)から20日(日)まで東京・草月ホールにて上演されます。チケットの一般発売は7月20日(月・祝)より開始。公演に関する詳細は、公式HPをご確認ください。

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もこ

40年近くにわたりオリジナルミュージカルの創作に力を注ぎ、日本の演劇界を引っ張ってきた音楽座ミュージカル。今回の新作に込められた「生きること」に対する思いを、ぜひ劇場で直に感じ取ってください。