「舞台演劇」というと帝国劇場や明治座など、大きな劇場での興業が想像されるかと思います。しかし、目と鼻の先でお芝居が展開される「小劇場演劇」にもそこならではの楽しみ方がたくさんあります。ただ、演劇ファンであってもなんとなく敷居の高さを感じてしまうのも「小劇場演劇」ならでは。そこで今回は「小劇場演劇」の魅力、どんな特徴があるかなどをご紹介します。
下北沢、中野、新宿……カルチャーのある街には「小劇場」あり
「演劇の街」として名高い下北沢には、数々の舞台俳優が憧れを抱く「本多劇場」をはじめとした「本多劇場グループ」が運営する劇場が多数存在しています。下北沢を舞台にしたドラマにも登場し、下北沢の小劇場といえば…な「ザ・スズナリ」、「スズナリ」に隣接した「シアター711」のほか、「駅前劇場」、「OFF・OFFシアター」など駅周辺をはじめとした場所に劇場が多数あります。
下北沢と並んで「演劇の街」と称されるのは「中野」。「ザ・ポケット」「劇場MOMO」のほか計4施設を擁する「ポケットスクエア」が中野を拠点に活動する舞台俳優たちのメッカとされています。
そのほか、惜しまれつつ閉館したのち、「本多劇場グループ」の劇場としてリニューアルオープンした新宿の「シアタートップス」、赤坂見附駅にほど近い「赤坂RED/THEATER」、芸能プロダクション「レプロエンタテインメント」が運営しホテルも併設されている「浅草九劇」など、実は至るところに小劇場があるのです。(関連記事:劇場支配人が語る【TOKYO MY THEATER】第1回「本多劇場グループ 新宿シアタートップス」総支配人・本多愼一郎氏インタビュー前編・後編)
ステージと客席の距離はわずか数センチ…! 小劇場「ならでは」の特徴
収容人数は劇場によって異なりますが、比較的大きめなところであっても200名以下と少なく、100名以下の劇場も多く存在します。
そうなってくると、最前列とステージとの近さが気になるところ。筆者の今までの経験からすると、大体人が1人ギリギリ通れるくらいのスペースしかないことが多いです。劇場によっては開演前後にステージにマットを敷き、そこをお客さんが往来することもあります。
また、演目によっては自由席ということもあるので、複数回見に行く場合は、好きなアングルから見られるというのはメリットではないでしょうか。上演中、基本的にピンマイクは使用されず、地声で上演されるというパターンが多いのも特徴の1つです。
上演後に直接感想が言えちゃう!? 「お見送り」と「物販コーナー」
昨今はコロナ禍で実施されていませんが、以前の「小劇場演劇」の大きな特徴の中に「お見送り」というものがありました。これは上演後に出演者の方々がロビーに出て、お客さんをお見送りしてくれるというもの。さらにそこで出演者の方々と直接お話して、感想が伝えられちゃうんです。
筆者も何度か緊張しながら、出演者の方々とお話したものです。場合によっては写真撮影がOKなこともあります。プレゼントボックスが設置されていることも多いのですが、直接お手紙を渡せるケースも存在します。しかし、どこまでOKかはそれぞれ異なるので、事前に確認することをおすすめします。
終演後に物販コーナーに出演者の方々がスタッフと一緒に立っていることもあります。どれを買おうか悩んでいるとご自身のグッズを勧められたり、誰のファンなのかと聞かれて会話がはずんだりして、これもまた1つの思い出になります。
「有名人を間近で見たい!」も立派な理由の1つです
「小劇場」で上演される舞台には、ドラマや演劇で活躍している方が出演することもあります。その多くは今でも主宰の劇団を持っている方、所属している方です。代表的なところでいうと、八嶋智人さん、山崎樹範さん(劇団カムカムミニキーナ所属)、川本成さん(時速246億主宰)、水野美紀さん(プロペラ犬主宰)らです。また、『ドラえもん』や『ヒプノシスマイク』などでおなじみの木村昴さんが主宰の「天才劇団バカバッカ」、『新世紀エヴァンゲリオン』ほか数々の人気作に出演している関智一さんが主宰の「劇団ヘロヘロQカムパニー」など声優が主宰している劇団もあります。
「小劇場演劇」が気になる!という方で敷居が高く感じる場合、まずは知っている人が出ている舞台からはじめて、どんどんディープな方へ向かっていくというのも選択肢としてありだと思っています。筆者はそういったきっかけで、「札幌演劇」にハマり、遠征した経験があります。
観劇するにあたって「何を大切にするか」というのは人それぞれだと思うのですが、「小劇場演劇」はエッジやスパイスの効いた作品が多いのも特徴的です。いつもとはちがった体験がしたい!という方は是非思い切って「小劇場」に足を踏み入れてみてください。