ブロードウェイのリバイバル版初演から今年で30周年を迎えるミュージカル『CHICAGO(シカゴ)』。東急シアターオーブでの来日公演開幕に先駆けて公開ゲネプロと囲み取材が行われ、日本公演のオフィシャルアンバサダーを務める米倉涼子さんと、ロキシー役のサラ・ソータートさん、ヴェルマ役のジャレンガ・スコットさん、ビリー役のブラッドリー・ジェイデンさんが登壇しました。

「ALL THAT JAZZ」など名曲と共に描かれるブラックユーモア

1920年代、禁酒法時代のアメリカ・シカゴを舞台に、実話を元にしたミュージカル『CHICAGO』。ロキシーとヴェルマ、2人の女性殺人犯が、敏腕弁護士ビリーの作り話によってメディアの注目を集めていくブラック・ユーモア溢れる作品です。

鬼才ボブ・フォッシーの振付を体現した印象的な振付と、「ALL THAT JAZZ(オール・ザット・ジャズ)」を始めとする名曲の数々が唯一無二の魅力を放ち、世界38か国・500都市以上・13言語で上演されてきました。

生演奏のバンドが舞台中央に位置し、ジョン・カンダー&フレッド・エッブによるミュージカルナンバーの数々を演奏。ダンスはもちろん、ハシゴを使ったダイナミックな演出や、これぞブロードウェイミュージカル!な華やかなステージングも魅力的です。

ブラッドリー・ジェイデンさんはミュージカル『レ・ミゼラブル』ワールドツアースペクタキュラーで魅せた力強い歌声はそのままに、ジャベール役から一転して悪徳弁護士のビリーを妖艶に演じています。

ロキシー役のサラ・ソータートさんは、夫のエイモスを始め周囲を振り回す役どころながら、理想と現実の狭間で揺れる1人の女性としてチャーミングに描きます。

ヴェルマ役のジャレンガ・スコットさんは長身を活かしたダイナミックなパフォーマンスが印象的です。

夫と浮気相手の妹を殺害した元ヴォードヴィルダンサーのヴェルマ・ケリー、不倫相手の常連客フレッド・ケイスリーを銃で撃ったロキシー・ハートに、作り話を堂々とでっちあげる弁護士ビリー・フリン。異色のダークな登場人物たちは、刺激的なネタを求めるマスコミの視線を奪います。

自己中心的で愚かに見える彼女たちですが、“言ったもの勝ち”の世界で自ら“炎上”しにいく現代にも重なる点は多いでしょう。正義は、品格はどこに行った?と歌う楽曲「CLASS(クラス)」は時を超えて今の私たちにも問いを投げかけます。

「直接エネルギーを感じていただけたら」

囲み取材では、日本公演のオフィシャルアンバサダーを務める米倉涼子さんと、ロキシー役のサラ・ソータートさん、ヴェルマ役のジャレンガ・スコットさん、ビリー役のブラッドリー・ジェイデンさんが登壇しました。

ゲネプロを観劇した米倉さんは「個人的に久しぶりに『CHICAGO』の音楽を聴いてほっとしたというのもありますし、長い間『CHICAGO』に関わってきましたので色々なタイプの『CHICAGO』を観てきましたけれども、キャストと全てのプロダクションが合わさることによって、エネルギーや感覚の違うショーが出来上がるということを改めて感じました。とっても今日は新感覚でした。みんな凄く大きいですしパワフルです。昨今はコンプライアンスの問題で色々な言葉を注意してお話ししなければいけない中で、言いたいことをズバズバと言っているストーリーや台詞がとっても面白いなと改めて思いましたし、踊りも、もちろん歌も全体的に楽しんでいただける作品だと思います」と語りました。

今回ロキシーを演じるサラ・ソータートさんは「素晴らしい演出家と共に、自分ならではのロキシー像を創り上げられたと思います。野心的でありながら弱さや脆さもロキシーにはあると思います。衝動的でありながら、真っ直ぐな心も持っている役どころだと思います。お客様にそこを見せられたら。自分のこれまでの経験を活かして色を見せたい」と意気込みます。

ヴェルマ役のジャレンガ・スコットさんはロキシーを演じるサラさんについて「ご一緒させていただけるのは、とても幸運なことです。2人ともお互いの役を愛しているし、作品を愛しています」と語り、「ロキシーとヴェルマは欲しいものに向かってまっしぐらですし、最初は対立していても最後は手を取り合って欲しいものを取りに行く」と役柄の関係性を語りました。

ビリー役のブラッドリー・ジェイデンさんは、昨年同じ東急シアターオーブで上演されたミュージカル『レ・ミゼラブル』ワールドツアースペクタキュラーでジャベール役を好演。来日について「これまで何度も日本を訪れていますが、ここに来られることをいつも大変光栄に思っています。日本は私にとって世界で最も好きな場所の一つです」と語り、「今回『CHICAGO』30周年という記念すべき公演に参加できることをとても幸運に感じています。また、この素晴らしいカンパニーの一員になれたことも喜びです。この数週間、公演を成功させるために懸命に取り組んできたチームですが、特に、極めて力強い2人の女性がカンパニーを率いているという点は特筆すべきことです。自立した強い女性たちがカンパニーを牽引する姿を目の当たりにできるのは、パフォーマーとして本当に素晴らしい体験です」とコメント。

最後に、米倉さんから「『CHICAGO』30周年というタイミングで、日本で『CHICAGO』を観られるというのは特別なことだと思っています。ぜひ劇場まで足を運んでいただいて、直接、このエネルギーを感じていただけたらと思っています。舞台は直接観なければ感じられないことがたくさんありますし、毎日エネルギーが変わっていきますから、ぜひ楽しみにしていただけたらと思います」とメッセージが贈られ、会見が締めくくられました。

撮影:山本春花

ミュージカル『CHICAGO(シカゴ)』は2026年8月19日(水)から8月30日(日)まで東急シアターオーブ、9月3日(木)から9月6日(日)まで大阪・オリックス劇場にて上演されます。公式HPはこちら

Yurika

かの有名な「ALL THAT JAZZ」を生で観ると、改めてその振付の妖艶さと独特さに惹きつけられます。ビリーがロキシーの話をでっちあげ、世論を意のままに操る姿がマリオネットのように表現される「We Both Reached for the Gun」は、本作のユーモアさと風刺的側面を鮮やかに感じられ、胸が高鳴りました。