新型コロナウイルスの影響を受け、閉鎖されていたニューヨークの劇場街、ブロードウェイ。約18ヶ月続いた試練の期間を経て、ついに、そのとびらが、開かれます!どんな作品が上演されるのか、中でも注目作品とは?

9月は人気作品の再開ラッシュ!

ブロードウェイの劇場公演が中止になった2020年3月12日以来、世界中の演劇関係者やファンが願い続けた公演の再開。多くの作品が今月中にその初日を迎えます。

9月2日(木)に第1号として観客の熱視線を浴びたのは、2019年トニー賞で8部門を受賞した『ハデスタウン』、そしてサラ・バレリスが楽曲を手がけた『ウェイトレス』の2作品。満席でスタンディングオベーションが続く盛況ぶりは、ニューヨーク・タイムズなど大手メディアでも報じられました。初日には『ハデスタウン』終演後、キャストが劇場から出てきて歌唱する場面も。

9月14日(火)にはブロードウェイを代表する4作品の幕が上がります。『ハミルトン』『ライオンキング』『ウィキッド』、そして今年ロングラン25年目のアニバーサリーイヤーとなる『シカゴ』です。2023年に日本公演が決定した『ムーラン・ルージュ』、ブロードウェイらしい豪華絢爛さが魅力のディズニー・ミュージカル『アラジン』も9月末までに再開にこぎつけます。

10月以降もロングラン作品が続々と復活。人気作の再演も!

ブロードウェイで不動の人気を誇る作品たちは10月以降も続々と再開予定です。10月22日(金)には、日本でも人気が高い『オペラ座の怪人』が劇場へ。アメリカン・ジョークと下ネタ満載の『ブック・オブ・モルモン』は11月、映画公開が決まった感動作『ディア・エヴァン・ハンセン』は12月に再開が決定しています。現地を訪れるミュージカルファンにとっては、年末にかけてこの上なく幸せな期間になりそうですね。

注目すべき作品は?今ニューヨークに行けたら観たい、アメリカの物語2選

今年はアメリカ同時多発テロ事件から20年の節目の年。9.11をテーマにした大人気ミュージカル『カム・フロム・アウェイ』は9月21日(火)に再開します。悲惨な事故の裏で、見知らぬ土地に着陸して避難生活を送ることになった、世界方々から集った乗客たち。彼らをもてなしたカナダの田舎町の人々との交流を描く本作は、開幕前から追悼のメッセージをSNSやテレビパフォーマンスで発信しています。

こちらは最近、AppleTVでの配信を開始し、日本語字幕付きで観ることができるようになりました。配信であれ、上演であれ、このタイミングでおすすめしたい作品です。

また、「ナショナル・シアター・ライブ」で世界から注目される演劇作品『リーマン・トリロジー』は9月25日(土)から待望の再上演です。リーマン・ショックの引き金となったリーマン・ブラザーズ社の創設史を描いた秀作。経済危機や世界情勢、その中での大国アメリカの立ち位置の変化など、課題が山積みの今だからこそ、触れたい作品です。

Sasha

劇場再開にあたっては、観客にワクチン接種証明とマスクの着用が求められます。俳優たちもワクチン接種が必須のうえ、PCR検査で陰性証明をして公演に挑むそう。日本よりもやや厳しいガイドラインですが、公演中止のリスクは最小限に留められるかもしれません。そうした運用がどんな効果を発揮するのかも含めて、今後も世界一の劇場街の動向を見届けたいですね。