キャッチーな楽曲で、底抜けにハッピーなコメディ・ミュージカル『バイ・バイ・バーディー』。キング・オブ・ロックことエルヴィス・プレスリーの徴兵エピソードからヒントを得て作られたミュージカルが、ついに日本初上陸です。作品・出演者について詳しくはこちらの記事から。今回は、『バイ・バイ・バーディー』のゲネプロと取材会の様子をお届けします!

仕事に恋に大忙し!ハッピーなコメディ・ミュージカル『バイ・バイ・バーディー』

『バイ・バイ・バーディー』の舞台は 1960 年代のアメリカ。若くして音楽会社を立ち上げたアルバート・ピーターソン(長野博さん)は、クライアントであり、世界中の女性の心を鷲掴みにして虜にしているスーパーロックスターのコンラッド・バーディー(松下優也さん)が兵隊の召集令状を受けてしまったことで窮地に立たされています。

アルバートの恋人で秘書のローズ(霧矢大夢さん)は、スーパースターが徴兵されて、会社が立ち行かなくなってしまうことを危惧。そこで、バーディーが入隊する前に最後の曲として「ワンラストキス」 を作り、発売企画としてラッキーな女の子一人にバーディーの「ラストキス」をプレゼントする、という破天荒なアイデアを思いつきます。

撮影:源賀津己

そして、オハイオののどかな町に暮らす少女、キム(日髙麻鈴さん)がラッキーな少女として選ばれました。キスの企画に反対するキムのボーイフレンド・ヒューゴ(寺西拓人さん)をはじめ、父ハリー(今井清隆さん)、母ドリス(樹里咲穂さん)、弟ランドルフ(内海啓貴さん)、友人アーシュラ(敷村珠夕さん)たちと、小さな町に大スターがやってくることで大騒ぎ!

撮影:源賀津己

一方、アルバートとローズは、そろそろ結婚を、と考えてはいるものの、母親をなかなか説得できないアルバートに、ローズはやきもきしていました。

果たして、「ワンラストキス」企画は成功するのでしょうか!そして、アルバートとローズの恋の行方は一体…!?

作品に理解が深いからこその演出・振付

撮影:源賀津己

取材会には、長野博さん、霧矢大夢さん、松下優也さん、寺西拓人さんが登壇。今回の神奈川芸術劇場での上演に、神奈川県出身の長野さん、寺西さんは「凱旋公演のような気持ち」と喜びを露にしました。

神奈川公演が終わると、大阪公演が待っています。大阪出身の霧矢さんにとっても凱旋公演になるということで、「故郷に錦を飾れるぞと思っています」と話しました。霧矢さんは幼少期の頃、バレエの発表会などで大阪公演の会場・ピロティホールの舞台に立っていたそう。「ミュージカルで帰って来れるなんて」と感慨深げな様子でした。

今回演出と振付を担当されているのは、ダンサー・振付家として活躍しており、最近では、ミュージカル『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』の振付・ステージング や『イン・ザ・ハイツ』の演出などで、その才能を遺憾無く発揮しているTETSUHARUさん。長野さんは振付に関して、「作品に対してより深い理解がある上での振り付けなので、躍っていて腑に落ちやすかった」と語りました。

松下さんはTETSUHARUさんの演出を受けるのは約8年ぶり。「僕らがやることを受け止めて、おもしろがって下さる。絶対これということではなく、もっと面白いこと、もっと良いやり方があるかもしれないところは俳優に委ねてくれる、余白を残して下さる演出」と稽古場での様子を明かしました。

1960年代の魅力が詰め込まれたハッピー・ミュージカル!

『バイ・バイ・バーディー』は1960年代が舞台ということで、ミュージカル『ヘアスプレー』と同じ頃の物語。60年代のカラフルで可愛らしい衣装に、豪華な舞台セットも目に楽しい作品です。

撮影:源賀津己

キムとヒューゴが付き合ったという話題で持ちきりの少年少女たちが電話で話している「The Telephone Hour」。カラフルな固定電話で噂話が広まっていく様子がポップに展開されていきます。ミュージカル『アニー』の作曲家チャールズ・ストラウスが手掛ける楽曲はどれもキャッチーで心踊るチャーミングな楽曲です。

キム役の日髙麻鈴さんや、キムの友人アーシュラ役の敷村珠夕さんをはじめとする、ティーンエイジャー達を演じている俳優陣の存在・パワーは本作において欠かせません!

撮影:源賀津己


スーパーロックスターのコンラッド・バーディーに夢中で、ファンクラブを作っている彼女たち。舞台が度々黄色い歓声で包まれます。ゲネプロでは特に歓声が大きかったようで、彼女達に囲まれるコンラッド役の松下さんは「今までよりも声が出ていて、耳が潰れるかと思いました(笑)」というほど。彼女達が出てくると一気に場が華やかに、そして若さ溢れるシーンへと変化するのが印象的でした。

また、コンラッドは、エルヴィス・プレスリーをモチーフに描かれているため、エルヴィスのイメージを持ちながらも、松下さんのオリジナルで作り上げられた独自のキャラクターにも注目です!

撮影:源賀津己

長野さんが今年の5月から6月にかけて出演していた『フォーエバー・プラッド』も1964年と同年代の物語。本作のアルバートは優柔不断でマザコン気質と、『フォーエバー・プラッド』で演じていた少しヘタレなキャラクターのジンクスが思い出される場面も。また、『フォーエバー・プラッド』でも登場した「エド・サリバン・ショー」が本作でも登場します。

「エド・サリバン・ショー」のシーンでは、実際の番組撮影風景の裏側を覗いているようで、とてもワクワクする演出になっていました!

霧矢大夢さん演じるローズはダンスナンバーが盛りだくさん。優柔不断なアルバートに痺れを切らしたローズが歌う楽曲や、寺西さん演じるヒューゴと踊る「シュライナーバレエ」など、美しく格好良いダンスシーンは必見です。
そして、霧矢さんが「(ローズとアルバートの)ラストシーンは、本当に幸せな気持ち」と話すように、まさにハッピー・ミュージカルとしてふさわしい幸せ一杯の気持ちに包まれるラストシーンでした。

ブロードウェイ・ミュージカル『バイ・バイ・バーディー』は、2022年10月18日(火)〜30日(日)に、KAAT神奈川芸術劇場で上演。その後、11月5日(土)〜7日(月)に大阪・森ノ宮ピロティホール、東京ファイナルとして11月10日(木)にパルテノン多摩・大ホールで上演予定です。公演HPはこちらからご覧ください。

ミワ

大人なアルバートとローズの恋路と、キュートなキムとヒューゴの恋路、2つともなかなか一筋縄ではいかないのですが、その様子がとても愛らしく描かれています。キュートなティーンエイジャーたちに元気を貰えます!観ていて心温かな気持ちになる作品でした!