ミュージカル『ファントム』は、2004年の日本初演以来、哀しくも美しいストーリーと、独創的な楽曲が観客を魅了しています。2019年には城田優さんが演出を手掛け、ファントム役も演じました。今年7月に、再び城田優さんを演出・主演に迎え、4年ぶりに待望の再演です!作品についてはこちらの記事へ。

新キャストを迎え、城田優演出の元、新たな『ファントム』へと生まれ変わる

ミュージカル『ファントム』は、フランスの小説家ガストン・ルルーのベストセラー小説『オペラ座の怪人』を原作としたミュージカル作品です。怪人ファントムの人間像に焦点をあてたストーリーと、独創的な楽曲が世界中を魅了しています。

日本では2004年の初演以来、繰り返し再演されている本作。2019年には、 城田優さんが演出を手掛け、ファントム役を演じるという『ファントム』史上初の挑戦を成し遂げ、好評を博しました。

そして、今夏、4年ぶりとなる再演が決定。

前回に続き、城田優さんが演出と主演・ファントム役を務め、更に今回はダブルキャストでシャンドン伯爵も演じます。
ファントム役のダブルキャストには、2019年から続投となる加藤和樹さん。シャンドン伯爵のダブルキャストは、大野拓朗さんが務めます。

ヒロイン クリスティーヌ役は、真彩希帆さんとsaraさんのWキャストです。
真彩さんは、類い稀な歌唱力を評価され、『ドン・ジュアン』や『笑う男 The Eternal Love-永遠の愛-』『天使にラブソングを〜シスター・アクト〜』などに出演しています。
saraさんは2021年にミュージカル『17again』で初舞台を踏み、『GREY』でヒロインに大抜擢されると、昨年は韓国小説が原作の『アーモンド』に出演。『ドリームガールズ』では、ローレル・ロビンソン役を好演しました。

『ファントム』の魅力は「愛が詰まっているところ」

写真:山本春花

記者発表では、まず、ファントム役のお二人による歌唱披露がありました。城田優さんが「世界のどこかに」を力強く歌いあげ、加藤和樹さんは「崩れゆく心」でクリスティーヌへの想いを切なく歌いました。

写真:山本春花

会見には加藤和樹さん、城田優さん、真彩希帆さん、saraさん、大野拓朗さんが登壇しました。

写真:山本春花

2019年から続投となる加藤さんは、「再演ということで気持ちも新たに、すごくワクワクしております。ほとんどのキャストが一新する中で、また新たなものを演出・城田優のもとで見つけていきたいなと思います。同じことをやるのではなく、また新たに生まれ変わるファントムを目指していきたいと思います」と話しました。

『ファントム』の作品の魅力を、「愛がすごく詰まった作品」であることと言う加藤さん。
「エリックは孤独や闇を抱えて生きています。そんな中で、少しでも手を伸ばして、手の届かない存在であるクリスティーヌに光や希望を見出し、愛を見つけていく。父や母からの愛だったり、作品の中の色々なところに散りばめられた愛を観ている方にも届けたい」と語りました。

宝塚歌劇団の雪組トップ娘役時代に『ファントム』でクリスティーヌ役を演じていた真彩さん。「今回は宝塚時代から数年経って、自分の気持ちも違うこともありますし、新しいことにチャレンジするような気持ちで心が向かっています。どんなふうに城田さんが演出をしてくださって、それに向かって色々なお話しができるのかということも、とても楽しみにしています」とコメント。

宝塚時代の上演からの大きな変化は相手役が男性になることよりも、歌詞が違うことだそう。「歌い込んだ曲なので、違う歌詞が出て来ないかが心配です。多分、(宝塚時代とは)全然違うと思います」と話しました。

saraさんは、9月に大学を卒業してから舞台に出演するのは、ミュージカル『ドリームガールズ』に続き2本目となります。
ミュージカルの大作が続くsaraさんは「今の状況を信じられなくて、家族も信じてなくて。(笑)まだ実感としては、自分が出演していることを感じていなくて。『ドリームガールズ』も『ファントム』もずっと憧れ続けた作品。でも、憧れ続けるだけじゃなくて、自分が作品に対して何ができるか、しっかり向き合っていきたいなと感じています。しっかりとクリスティーヌという役を全うできるよう頑張ります」と意気込みました。

写真:山本春花

また、saraさんは、『ドリームガールズ』では望海風斗さんと共演、『ファントム』では真彩さんとダブルキャストということで、元宝塚歌劇団の雪組トップコンビのお二人ともと同じ作品に連続で出演されます。

「ずっと隠していたんですけど…」と前置きをして、「兵庫出身なんですけど、初めて見た宝塚の公演が雪組で、望海さんが出演されていたんです。望海さんと真彩さんのだいきほコンビの公演をずっと観てきて、退団公演ももちろん観劇しました」と告白。真彩さんは「やったぁ、仲良くなりたいです!」答えていました。

そして、城田さんから直接「シャンドンが輝けば輝くほど、ファントムの闇が深くなる。だからぜひ拓郎にやってもらいたい」と連絡を受け、参加を決めたという大野さん。
「今回は演出を務めるちょうど先週ブロードウェイで『オペラ座の怪人』を観劇して、改めて勉強してきました。1つ1つの作品としっかりと向き合う時間を持って大切に、結果を出していけるようにと思いながら近年は芝居に取り組んでおります」と語りました。

写真:山本春花

常に“挑戦”し続ける城田優、ミュージカル界の三刀流に挑む

城田さんは、「個人的には3度目のファントム役の挑戦、そして演出は前回から2度目、そこに加えてシャンドン伯爵という役。この挑戦によって、何かエンターテイメントに携わっている方にはもちろん、観にきてくださる皆様にも希望を持っていただけるよう、今回が集大成という気持ちでベストを尽くしたいと思います。
『ファントム』という作品の持つ愛や悲しみの深さ、表裏一体ともいえる憎しみと愛。その大きなエネルギーや、ミュージカルの素晴らしさ、音楽を通して感情を表現することの素晴らしさをお届けできたらと思っております」と話しました。

写真:山本春花

なぜそこまで大変な挑戦をされるのかという質問に、「なんでなんでしょうね、僕もわからないです」と話し始めた城田さん。
「でも、エンターテイメントのお仕事をしていく上で“挑戦する”ということを決めています。何をやるにしても、絶対にできないだろうということをいかに自分が努力をしてできるようにするかというのは、当たり前のようで、凄く難しいこと。
前回、ファントム役と演出の二刀流と言われている時でもヒィヒィ言いながら、加藤和樹に助けてもらいながらやっていました。でも、また同じことをやっても、自分の中での挑戦としてはそこまで大きなものにはならないと思い…。
三刀流が成功した暁には、観てくださった方、関わってくださった方に、ポジティブな刺激やエネルギーを届けられるのではないかという僕なりの結論に至ったので、シャンドン役も挑戦することになりました」と三刀流になった経緯を話してくれました。

「迷惑をかけ続ける日々が続くとは思いますが、そこを超えていくシャンドン伯爵を作れるように自分なりに努力したいと思います」という城田さん。

写真:山本春花

城田さんとは長年の付き合いで、2019年の公演の際も隣で支えていた加藤さんは、「なるべく迷惑をかけないようにと言っていますが、全然かけてください。そこを支えていくのも我々カンパニーメンバーの役目だと思っているので。彼が実現したい姿、形があるのであれば、そこに我々も全力で応えていきたいなと思っています」と心強いコメント。

「放っておくと食べないから」と城田さんにお弁当を作っていたというエピソードも飛び出しました。

城田さんとシャンドン伯爵のダブルキャストを務める大野さんは、「僕はシャンドン一本筋なので、負けるわけにはいかないなという想いと、1ミュージカル・演劇ファンとして、優くんが挑戦しようとしている新しい試みに僕自身もそばで見られることにワクワクしています。是非とも大谷翔平選手越えの三刀流を完遂していただけるよう、一緒に作り上げていけたらいいなと思っています」と頼もしい答え。

真彩さんは、「とても楽しい試みだなと思っています。限界にチャレンジするというか、出来るのか出来ないのかというギリギリのラインを攻めるのってすごく楽しいことですよね。演出家・エリック・シャンドンと、色んな視点で作品を見る方の近くにいられるのはすごく楽しみ。城田さんの挑戦する姿を間近で見られるのは、私にとっても刺激だなと感じています」と話しました。

写真:山本春花

saraさんも、「人間なんだろうかというくらい凄い。城田さんが挑戦されるということで、わたしも力をもらえるというか。城田さんが自分の限界を超えて挑戦されているということは、カンパニー全体で一丸となって、前へ前へと進むエネルギーが生まれていくんだろうなと思っています」と、全員が前向きなエネルギーを持って稽古に望む姿勢が伺えました。

城田さんは、今回の演出について、「一人一人とディスカッションして、それぞれがどのようなキャラクター像で作っていきたいかを共有した後に、僕からはこう見えていますということを伝え、皆さんがどうしたいかを僕がディレクションしていければと思っています」とキャスト一人一人と向き合い、一緒に作り上げていけたらと話しました。

写真:山本春花

ミュージカル『ファントム』は、7月22日(土)〜8月6日(日)大阪・梅田芸術劇場メインホール、8月14日(月)〜9月10日(日)に東京・東京国際フォーラム ホールCにて上演です。チケットの一般発売は、大阪公演は5月20日(土)、東京公演は6月3日(土)開始です。公式HPはこちら

ミワ

城田さんの新たな挑戦、そして作品を支える心強いカンパニーメンバーが揃ったという印象。新たな『ファントム』の誕生が楽しみです。