浮世離れした人が、ベタな恋愛物語を描いたら?そんな構想から生まれた舞台『シナリオ通りの恋をした』。脚本・演出をお笑いコンビ「ザ・ギース」として活躍する高佐一慈さんが手がけ、稽古場を舞台にした奇妙なラブストーリーが展開されます。作品が立ち上がり始めたばかりの稽古場に伺い、高佐さん、芳賀礼さん(NMB48)、明石陸さん(SEVENIC)、塚本直毅さん(ラブレターズ)にお話を伺いました。

作品が立ち上がり始めた稽古場に潜入

お伺いしたのは立ち稽古2日目。なんと初日にあら通しを終え、2日目は台詞1つずつの解釈や見せ方が丁寧に掘り下げられていきます。初めてお芝居に挑戦するアイドル・比嘉るいが、自分が置かれている状況とよく似たラブストーリーの稽古に挑んでいく様を描いた本作。

芳賀礼さん、桜田彩叶さんが稽古場での会話を演じていくと、演出の高佐一慈さんは「良いですね!めっちゃ良くなっています」とお声がけしつつ、「ちょっと僕が演じてみます」と実際に演じて見せる場面も。キャラクターの感情が鮮やかに立ち上がる高佐さんの演技を見て、芳賀さん、桜田さんも瞬時に吸収していく姿が印象的です。

明石陸さんは「この台詞はわざと聞こえるように言う、嫌味な感じですか?」など台詞の意図を丁寧に確認し、キャラクター像を立体的に作り上げていきます。

そしてチャンス大城さん、アイアム野田さんが登場すると一気に独壇場に!守谷日和さん、塚本直毅さん、尾関高文さんも加わり、テンポ良くドタバタ劇が繰り広げられていきます。その様子に思わず稽古場も爆笑の渦に。

超実力派の面々で繰り広げられるコメディに、高佐さんも「お任せします」と信頼を置いている様子です。演劇の稽古場という、現実ともリンクするストーリーの中には演劇あるある(?)なシチュエーションも盛り込まれ、演劇好きなら思わず吹き出してしまうはず。ラブコメディだけではない、高佐さんらしい企みが詰まった作品となりそうです。

高佐一慈×芳賀礼×明石陸×塚本直毅インタビュー!

稽古終了後、高佐一慈さん、芳賀礼さん(NMB48)、明石陸さん(SEVENIC)、塚本直毅さん(ラブレターズ)にお話を伺いました。

−“ベタな恋愛物語での演劇作品を”というリクエストを受けていかがでしたか。
高佐「まず長尺の作品を書いたことがなかったので、大丈夫かな?書けないんじゃないかと不安でした。試行錯誤してなんとか漕ぎ着けたという感覚ですが、とりあえず書けた、良かった、という気持ちです」

−皆さんは脚本を読んでどんな印象を受けましたか。
明石「高佐さんならではの世界観をものすごく感じました。今これはどこの世界なんだ?という混沌が面白くて、それがどんどん回収されていくのが気持ちよくて。すごく素敵な作品だと感じました」

芳賀「色々な展開があるのでずっとワクワクしながら読みましたし、ラブストーリーだけではない、面白いシーンがいっぱいあったので飽きずに読めました」

塚本「高佐さんは普段からお世話になっている直属の先輩なので、高佐さんが長尺の作品を書いたらどうなるんだろうとワクワクしながら脚本を待っていました。実際に読んでみると、本当に高佐さんらしさが詰まった世界観で、見事な作品だなと」

高佐「塚本ちゃんはラブレターズ以外の作品でも脚本・演出の経験があるので、色々相談させてもらいました」

塚本「いやいや、すごく不安がっていたから。でも全然不安がる必要のない立派な作品でしたね。エッシャーのだまし絵のような構造の作品だなと…これは言おうと思って準備していました!(笑)吉住さんともそういう話をしていたんですよ」

高佐「マジで?!うわ嬉しい!!本番はこれからですけど、まず及第点ですね!良かったです!」

−塚本さんの台詞には、演劇あるあるなのか、揶揄なのか(笑)、という台詞もありそうでした。
塚本「そこだけが解せないですね(笑)。他の人には言わせられないから僕に書いたんだと思うんですけど、もう全然頭に入ってきません(笑)」

高佐「嘘つけ!初日に一番に覚えてきてたよ!(笑)揶揄だなんてとんでもない、演劇の素晴らしさを台詞に込めています!」

−それぞれが演じる役柄についてお聞かせください。
明石「今までに演じたことのない役です。言葉を選ばずに言うと、高佐さんの拗れた部分が出ているような…」

高佐「本当に選ばなかったね(笑)」

芳賀「私は自分自身と似ている部分が多いので演じやすいですが、自分と似すぎてたまに関西弁が出そうになります。必死に言い訳をするシーンとかで、“ちゃうねん、ちゃうねん!”と言いそうになったり。気づかないうちにイントネーションが関西弁になってしまうこともあるので、東京出身の三鴨くるみちゃんに聞いたりしながらやっています」

−ラブコメディというジャンルへの挑戦はいかがですか。
明石「今までドラマや映画でたくさん観てきたジャンルですが、いざ自分でやってみるとこんなに難しいんだなと実感しています。好きな気持ちがあってもそれを隠したり、強がって突き放してしまったり、行動とは裏腹な心情を演じるのが難しいです。でも高佐さんに教えていただきながら、どんどんレベルアップしていきたい。上しか見てないです!」

高佐「僕もラブストーリーを書くのは初めてだから、みんなで探り探りやっているんですよ。今まで読んだり観たりしてきたラブコメってある?」

明石「『花より男子』や映画『オオカミ少女と黒王子』は好きで観ていました!今回の役柄のイメージは『花より男子』の道明寺だと高佐さんから伺ったので、今は稽古帰りの電車で『花より男子』を観ています」

芳賀「私も繊細な感情の表現はすごく難しいです。好きだけどツンとしてしまうところは、普段の自分の性格にもない部分なので、何が正解なのか分からなくて。でも私も王道の恋愛ドラマはずっと好きだったので、そういうドラマのことを思い返したり、高佐さんが丁寧に教えてくださるので学んでいる日々です」

−NMB48で恋愛ソングを歌う時とはまた違うものですか?
芳賀「全然違いますね。NMB48のラブソングはストレートな歌詞が多いので、表現しやすいです。恋愛の駆け引きを演じるのは初めての経験だと思います」

高佐「僕はラブコメを書くにあたって、ラブコメの王道である矢沢あいさんの『天使なんかじゃない』を読んで勉強しました。劇中には、それをオマージュしたシーンもあります!矢沢あい先生のファンの方、“天ない”ファンの方は確実に分かるシーンになっているので、そこも楽しんでいただきたいです」

塚本「僕はあまりラブコメを通ってこなかったので、勉強不足ですね。最初に“高佐さんでラブコメ”と聞いた時は、吉本は何を考えているんだろうと思いました(笑)。他事務所の高佐さんにわざわざお願いして、ラブコメって!そんな引き出しあったっけ?と思いましたが、出来上がってみたら高佐さんの世界が構築されているラブコメだったので驚きました」

高佐「王道なラブコメを意識しつつも、やっぱり自分がやりたいと思うものじゃないと後々苦労すると思ったので、複雑になるのは申し訳ないと思いつつ、自分がやりたい要素を足させてもらいました。『シナリオ通りの恋をした』というタイトル通り、現実とお芝居の世界がリンクしていくお話で、それぞれがアイドル、俳優、芸人の役を演じます。稽古場を舞台に、現実と芝居の境目が曖昧になっていく作品になっています」

塚本「僕の役は演出家としての立場になるので、稽古場の高佐さんが自分の台詞と同じことを言っていたりするんですよ。もうどんどん現実との境目が分からなくなっています」

明石「お客様には衣装の違いなどで分かりやすく観ていただけると思うのですが、僕らは混乱します。でも混乱している状態が正解だと思うので、慣れることなく進んでいきたいです」

芳賀「私は役柄としても現実なのか芝居なのか分からなくなる役なので、芳賀礼としても混乱しています。でもそれがこの作品の面白さなので、皆さんにも一緒に考えながら観ていただけたらと思います」

−高佐さんの演出はいかがですか?
明石「実演をしながら教えてくださるので、すごく分かりやすいです。“こういうアプローチはどう?”と実際に見せてくださると、“じゃあこっちのチャンネルでやってみよう”と自分の中でも色々考えることができます」

高佐「僕がやりすぎるのは良くない部分もあると思うのですが、稽古期間も短いので、ヒントにしていただけるようにやってみています。これは塚本さんに相談してアドバイスいただいた部分です」

塚本「僕は何て伝えれば良いか分からない時、“この台詞でウケるはずなので大事に言ってください”とか言っちゃうんですけど、芸人としてそんな恥ずかしいことはなくて(笑)。それで本番ウケなかったらもう最悪なので(笑)高佐さんはすごく丁寧に優しく演出されていると思います」

芳賀「私は初めてのお芝居なので、脚本を読むだけでは理解しきれない部分や、こう表現してほしいというのを感じ取れていない部分もあるので、実際にやってくださることにすごく助けられています」

−そして芸人さんが多く出演されるからこそ生まれるコメディシーンにも期待が高まります。
高佐「各自に見せ場があるので、そこは遊んでもらえたらと思います。もうプロフェッショナルな方々ばかりなので、胸を借りてやらせていただいています」

明石「僕は舞台上にはいないシーンが多いので、袖で思う存分笑わせていただいています。本当にすごいです」

芳賀「笑いを堪えるのに必死です。本番は歯を食いしばろうと思います(笑)」

明石「本番に向けてネタを取っておいている人もいると思うので、そこは芸人さんならではかもしれません」

塚本「野田さんとチャンスさんは2人で空き時間にネタ合わせしていましたよ。その姿を見ていてグッときました。僕は“ものすごい演劇だな”という台詞が大好きで、台詞を言うのが楽しみなんです。僕の本心ではない台詞なんですけどね(笑)早く言いたいと思える台詞があるって貴重だし良い舞台だなと実感しています」

−本作は様々なファンの皆さんが観にいらっしゃると思います。最後にメッセージをお願いします。
高佐「普段演劇を見慣れていない方もいらっしゃると思うのですが、そういう方にも楽しんでもらえる作品になっていると思うので、ぜひ楽しんでいただければ嬉しいです」

明石「今まで見せたことのない自分を表現できるのがすごく嬉しいです。力強い共演者の皆様と練り上げて練り上げて、どんどん良い作品になる予感がしています。敷居が高くて観に行きにくい作品では一切ないですし、誰でも絶対に好きなシーンを見つけていただける、面白かったなと思っていただける作品になっていると思います。楽しみにしていただきたいです」

芳賀「私のアイドルじゃない一面を楽しんでもらえると思いますし、NMB48ファンの皆さんはお笑いが好きな方も多いので、ただのラブストーリーではないところも好きになってもらえるポイントだと思います。笑いも楽しんでいただきたいです」

塚本「ザ・ギースのファンの方やお笑い好きの方、いつも明石くんの舞台を観られている方、NMBのファンの方、そして矢沢あいさんのファンの方、エッシャーのファンの方(笑)、どの層が見ても面白いものになっています。ぜひ楽しみに待っていただけたらと思います」

高佐「何より、演劇ファンの方に来ていただきたいです!きっと演劇好きな方に楽しんでいただける作品に仕上がっていると思います!」

撮影:蓮見徹

舞台『シナリオ通りの恋をした』は4月30日(木)から5月2日(土)まで紀伊國屋ホールにて上演されます。公式HPはこちら

Yurika

芸人の皆さんの笑いを巻き起こす力が凄まじく、やはりお笑いもライブエンターテイメントだなと実感しました。リアルとフィクションの境目が見えなくなっていく…劇中劇のような構造によって、どんな不思議な世界観が立ち上がるのか楽しみです!