ミュージカル『シカゴ』は、世界38か国・500都市以上で上演されたメガヒット・ミュージカルです。実話を基にした2人の悪女によるスキャンダラスなストーリーと、鬼才ボブ・フォッシーが確立したダンススタイル。そして「オール・ザット・ジャズ」をはじめとした、一度聴いたら忘れられない印象的なナンバー。これらの要素によって、世界中の観客に愛され続ける作品です。そんな『シカゴ』が、2026年8月から9月に30周年記念公演として来日します。
『シカゴ』とは?2人の悪女が狙うスターダム

舞台は1920年代、禁酒法時代のアメリカ・シカゴ。
夫と妹を殺害した元ヴォードヴィルダンサー、ヴェルマ・ケリーが、虚飾と退廃に満ちた魅惑的な世界へと観客を誘います。
一方、ナイトクラブで働く人妻ロキシー・ハートは、浮気相手の常連客に銃弾を放ち殺人犯監房へ。そこで彼女は、ヴェルマをはじめ、自らの罪に独自の”解釈”を加えて無実を高らかに訴える女性殺人囚たちと出会いました。
ショービズ界へのカムバックを狙うヴェルマと、無罪を勝ち取りスターダムを夢見るロキシー。
2人の代理人を務める凄腕弁護士ビリー・フリンは、自分こそがすべてを巧みに操る”スター”だとうそぶきます。そしてメディアを操作してロキシーの偽りの過去と正当防衛の物語を大胆にでっち上げるのでした。
世間の注目を一身に集めるロキシーでしたが、判決の瞬間に新たなスキャンダラスな殺人事件が報じられると、マスコミは彼女に目もくれず飛び出していって……。
なぜ『シカゴ』は愛され続けるのか?

『シカゴ』という作品で描かれるのは、承認欲求とメディアの影響力、そして世間の飽きっぽさへの皮肉です。これらのメッセージは、情報化社会である現代において強烈に響くと同時に、時代を超えても変わらない人間の普遍的な感情を映し出しています。
また、舞台上のヴェルマやロキシーは自ら演出した「女性像」によってスターに上り詰めました。虚構の自分を演じて名声を手にする彼女たちを、本物の俳優たちが演じる。このメタ的な構造も、本作品の大きな魅力のひとつです。
さらに、日本との縁にも注目したいと思います。女優の米倉涼子さんが2008年と2010年に日本語版『シカゴ』でロキシー役を務めたのち、2012年には同役でブロードウェイ・デビューを果たしました。その後、米倉さんは2017年、2019年、2022年にブロードウェイでの公演に出演しています。
2015年には、NHK朝の連続テレビ小説『マッサン』でヒロインを演じたシャーロット・ケイト・フォックスさんがブロードウェイでロキシー役に抜擢され、同年に来日公演を行いました。
こうして時代も国境も超えて愛されてきた『シカゴ』。30周年を迎える今年の来日公演には、ロンドン・ウエストエンドの第一線で活躍する俳優たちがやってきます。
ウエストエンドのトップスター、ブラッドリー・ジェイデンら実力派が集結。注目の来日キャストは?

特筆すべきは、今回の『シカゴ』で敏腕弁護士のビリー・フリンを演じるブラッドリー・ジェイデンさんです。
ジェイデンさんはロンドンのウエストエンドを拠点に活躍するミュージカル俳優。これまでに『レ・ミゼラブル』のジャベール役・アンジョルラス役のほか、『オペラ座の怪人』ラウル役や『ウィキッド』フィエロ役など幅広い役柄を演じています。
2025年夏、日本で開催された『ミュージカル レ・ミゼラブル ワールドツアースペクタキュラー』ではジャベール役を好演しました。
ジャベールといえば厳格な法の番人といったイメージの強いキャラクターですが、ビリー・フリンは敏腕弁護士であり、悪知恵も働きます。
ジェイデンさんがこの癖のあるキャラクターをどう演じるのか、非常に楽しみです。
米倉涼子さんやシャーロット・ケイト・フォックスさんも演じたロキシー・ハートには、サラ・ソータートさんがキャスティングされています。ソータートさんは、アントワープ王立バレエ学校をはじめ、ベルギーやイギリスで研鑽を積んだ経歴を持ち、過去に複数の公演でロキシー役を演じてきました。
ボブ・フォッシーの唯一無二の振付が、彼女によってどう表現されるのか期待が高まります。
そしてヴェルマ・ケリーを演じるのは、『キャッツ』のボンバルリーナ役や『ウエスト・サイド・ストーリー』のアニタ役など、名作ミュージカルへの出演歴を誇るジャレンガ・スコットさんです。
スコットさんは『シカゴ』でモナ役、リズ役、そしてヴェルマ役といった複数の役を演じてきました。『シカゴ』を内側から知り尽くしたスコットさんが演じるヴェルマ・ケリーに、ぜひご注目ください。
ブロードウェイミュージカル『シカゴ』30周年記念来日公演は、2026年8月19日(水)から8月30日(日)まで東京・東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)、2026年9月3日(木)から6日(日)まで大阪・オリックス劇場にて上演されます。チケット情報やスケジュールなどの詳細は公式HPをご確認ください。公式HPはこちら
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『シカゴ』には正義の味方も、清廉潔白なヒロインも登場しません。人間のエゴや欲が前面に出た作品ですが、それがなんだか小気味よく感じられて大好きな作品です。そんな人間味溢れる物語が、ボブ・フォッシーの唯一無二の振付や数々の名ナンバーによって昇華されたこの名作を、ぜひ楽しんでいただきたいです。



















