東京建物 ぴあ シアターのオープニングシリーズとして上演されるミュージカル『ETERNITY(エタニティ)』。韓国の人気作品を上演台本・演出:河原雅彦さん、訳詞:森雪之丞さんによって日本版ならではの魅力を加え、日本初演を迎えます。初日を前に公開ゲネプロと初日前会見が行われ、河原雅彦さん、小池徹平さん、小西遼生さん、小野田龍之介さん、伊藤あさひさん、美弥るりかさんが作品への想いを語りました。

あなたを忘れない 時代は変わっても

1960〜70年代にデヴィッド・ボウイらを筆頭に流行した音楽ジャンル「グラムロック」を、時間軸を交錯させながら描いたミュージカル『ETERNITY』。2024年・2025年の韓国初演・再演ともにチケット即日完売し、演劇の街・大学路(テハンノ)を熱狂させました。

60年代の伝説的なグラムロックスター「ブルードット」と、現代でグラムロッカーを夢見る孤独なシンガー「カイパー」、過去と現在をつなぐ神秘的な存在「マーマー」の3人が、約105分のステージをノンストップで繰り広げます。

日本版ではブルードット役を小池徹平さん・小西遼生さん(Wキャスト)、カイパー役を小野田龍之介さん・伊藤あさひさん(Wキャスト)、マーマー役を美弥るりかさんで上演。

生演奏のバンドがステージ上に見える形で配置され、左右に階段のある巨大なセットをキャストがダイナミックに駆け抜けます。またダンサーとして鈴木明倫さん、人徳真央さんが加わり、日本版ならではの魅力を放ちます。

公開ゲネプロではブルードット役を小池徹平さん、カイパー役を小野田龍之介さんが務めました。

世界的なロックスターとして活躍するブルードットは、ワールドツアーにトーク番組出演と大忙し。宇宙船に搭載する“永遠に残るレコード”に選ばれるため、新曲作りに勤しみます。

小池徹平さんは、自信満々で不思議なオーラを放つブルードットの表の姿と、壮絶な生い立ちから来る強烈な孤独と愛されることへの強い欲求とのギャップを描き出します。もちろん、グラマラスな衣装でのライブシーンが複数登場し、観客をブルードットの世界観に誘います。

一方、アマチュアのミュージシャンであるカイパーは、ブルードットも出演した歴史ある音楽フェス「マグネティックハイウェイ」に挑むことに。しかし世間はグラムロックを時代遅れだと冷笑します。

小野田龍之介さんは、高い歌唱力で楽曲の魅力を存分に引き出しながら、歌詞の一つひとつを確かな“言葉”として届けます。ブルードットへのまっすぐで深い愛情をたっぷりと表現する一方で、まだアーティストとして自分だけの色を見つけられず、自信を持てないカイパーの揺らぎも繊細な芝居で表現。

<あなたを忘れない 時代は変わっても あなたの痛み 知ってるよ 僕は>。孤独を感じながらも、時代の流れに迎合せずブルードットへの愛を持ち続けるカイパーは、多くの観客が共感するキャラクターではないでしょうか。

美弥るりかさんは2人を繋ぐマーマーとして、そして時にブルードットが出演するトーク番組の司会者に、時にカイパーが訪れる店のオーナーとして、時にブルードットを押し除けてスターになっていく若手アーティスト「JJ」として、変幻自在にステージを彩ります。

美しい身のこなしや、韓国版では男性が務めた役柄を男性キーのまま歌唱、ジェンダーレスに演じる姿が神秘的なマーマー像を作り上げます。

韓国国内の音楽チャートにランクインするなど音楽性の高さも人気の本作。ブルードットとカイパーが歌う「エタニティ」、カイパーが歌う「月の足跡」、JJのヒットナンバー「ダンシング・トゥナイト」など耳に残るキャッチーな楽曲が次々に登場し、ブルードットとカイパーが時を超えて声を合わせるシーンも。カーテンコールではペンライトを使った演出もあり、客席と一体化したライブシーンが繰り広げられます。

思わず身体が動き出すロック・ミュージカルでありながら、物語で描かれるのはブルードットとカイパーの“孤独”。自分のことを見つけて欲しい、愛してほしい、忘れ去られたくない。SNSで他者とつながりやすくなった一方で、承認や孤独を意識する場面もある現代に、彼らの声は強く響きます。

私たちが“永遠に残したいもの”は何でしょうか。何でもデジタルに残る時代に、刹那的に消えていくように見えながら、私たちの心に残り続ける「演劇」も、その1つであるはずです。

思いきり『ETERNITY』の世界を楽しんで

公開ゲネプロ直後に実施された初日前会見には、上演台本・演出の河原雅彦さんと、本作に出演する小池徹平さん、小西遼生さん、小野田龍之介さん、伊藤あさひさん、美弥るりかさんが登壇しました。

「最高に煌びやかで、毒々しくて、良いロック・ミュージカルが出来上がった」と自信を見せた河原さん。ダンサーの追加や壮大なセットなど、日本版ならではの演出に仕上げ、「カロリーの高い作品なので演じる人たちはすごく大変だと思うんですけれど、僕はもう創り終えたので(笑)」とコメントしつつ、「グラムロックの衣装は独特で難しくて、日本人ですし似合わなかったら全然説得力がないからどうしようと思っていました。衣装合わせの時に“大丈夫であれ”と思って、ブルードットとカイパーの衣装合わせを見て、すごくホッとした記憶があります。この作品においてビジュアルは凄く大事なので。着こなしてくれて安心しました」と作品へのこだわりを明かしました。

小池さんは「ご覧ください!こんな派手な衣装、小池、今まで着たことございません!こんな派手にキラキラさせていただいて。本当に派手なステージング、人数が少ないのにエネルギーを皆さんに飛ばすような煌びやかなステージになっております。お客様も一緒に盛り上がれるような新しいミュージカルになっているかなと思いますので、ぜひご期待していただけたら」と高揚感あふれるコメントを。

華やかな衣装とメイクについて「舞台って通常は5〜10分かからないくらいのメイクですけれど、ちゃんとメイクさんが30分弱かけて作っていただいて、こんなにキラキラになって。気持ちがめちゃめちゃ上がるんですよ。いつも役は衣装やメイクに力を借りますけれど、今回はよりそれを感じました。僕だけじゃなくみんなもそうだと思いますし、バンドメンバーも楽屋でメイクしていて、男子楽屋がキャピキャピしています!それも素敵だなと。毎日ハッピーな気持ちで、照明もたくさん浴びて輝かせていただけて、凄く幸せな日々が始まるなという思いで本当にワクワクしています」と語りました。

小西さんは「少人数なので組み合わせでも見えるものが変わると思いますし、あっという間の上演の中で、色々な宇宙を見ていただけるような作品になっていると思います」と語り、「見てびっくりする衣装ばかりだし、それがあってこそのグラムロックだなと感じるので、気分を上げていきたい」と意気込みます。

小野田さんは「こんなホットな作品を、新劇場のオープニングの1つとしてお送りできること、本当に嬉しく思っております。登場人物3人とダンサーお2人と、本当に濃密な作品で。密という言葉は何年か前までは非常にネガティブな言葉でしたけれども、やっぱり演劇って濃密で最高なんだなという思いが稽古・ゲネプロをやってたぎってきました。韓国の大ヒットミュージカルなんですけれども、ただのレプリカではなく、河原さんキャプテンの元、我々俳優と、クリエイティブスタッフ陣と共に、オリジナルのように大切に大切に、“ああでもない、こうでもない”とやりながら創ってきたので、作品への我々の愛がお客様に伝わったら良いな、たくさん盛り上がっていただけたら良いなと思っております」と熱くコメント。

伊藤さんは「『ETERNITY』という作品はジャンルにとらわれない、新鮮で斬新な作品になっているなと演じていて感じます。お客様にも世界観を楽しんでいただけたらいいなと思っております。僕自身はカイパーと共に殻を破って、舞台上でキラキラできたら良いのかなと。今はこういう服装ですけれど、大変身があるかもしれません…!」と期待感たっぷりに語ります。

美弥さんは「挑戦したかった韓国ミュージカルに参加できてとても嬉しかったですし、新劇場でスタートを切れるというのもおめでたいこと。個人的には河原さんの演出作品にまた参加できたというのも嬉しいことで、本当に嬉しいことづくしで初日を迎えられるなと思っております」と喜びを噛み締めました。

ブルードット、カイパーのように“永遠に残したいもの”についてお話を伺ってみると、河原さんは「痕跡を残したくないので、死にそうになったら色々なものを破棄します(笑)。残したいものはないです」とお答えが。

美弥さんは「永遠に覚えておきたいなと思うのは、初日のカーテンコールで、客席が少し明るくなって、皆さんの顔を見た時に楽しんでいるかどうかがすぐ分かるんです。あの瞬間は1ヶ月以上稽古してきたことが報われる瞬間で、喜びがあるので、永遠に覚えておきたいです」と語ります。

小池さんは「ずっと残るものというのはなかなかないと思うんですけれど、思いや気持ちが伝わって、残っていってくれると素敵だなというのは思っていて。自分がこの仕事を頑張って築き上げてきた大事なものが、子どもが“よく分からないけれどパパが大事にしていたんだよね”とかそういう思いでも良いから残っていくと、永遠に繋がっていくのかな」と未来に思いを馳せます。

小野田さんは「僕は演劇の世界でしか生きてこなかったものですから、帝国劇場が今休館して建て替えになっていたり、この東京建物 ぴあ シアターは新しくなったり、日本って劇場のクローズやオープンが凄く多いなと思って。2代目帝国劇場も50年ほど(1966年開場・2025年休館)で、何百年という劇場ではないんですよね。劇場って色々な作品や人の魂が常に宿っていて、それが劇場の味になってくると思うので、日本でも劇場がすぐ取り壊されず−劇場だけでなくアリーナやホールもそうですけれど−歴史的な建造物として残って、色々な規模の作品が常に上演される国であったら演劇好きとして楽しいなという思いは凄くあります。建て直すならすぐ建て直して欲しい(笑)。青山劇場ってどうなっているんだろう?とか思います」と、演劇愛溢れる切なる願いが語られました。

一方、伊藤さんは「部屋が綺麗な状態を永遠に残したい。稽古期間中って気づいたら部屋が汚くなっていて、諦めて寝ることが多いので、永遠に部屋が綺麗であったら良いのにと思いながら寝ています」とマイペースなコメントで会見を和ませます。

小西さんは「人間の感情。AIに乗っ取られたくないな、と。僕が子どもの頃からそういうSF漫画がありましたけれど、今そういう時代が来ていて、色々と怖いなと思うことがあるので、アナログなもの、気持ちが残って良いなと思います」と語りました。

最後に小池さんから「ペンライト(販売・貸出)や、サイリウム(配布)もあるので、お客様に一緒に参加していただき、『ETERNITY』の世界にせっかくだったら入ってもらって、個人としてもそうだけれど、ブルードットのファンとして参加したらより楽しめるんじゃないかと思います。どうせ来るなら思いきり『ETERNITY』の世界を楽しんでいただければと思いますので、劇場にはしゃぎに来てください!」とメッセージが送られ、会見が締めくくられました。

撮影:蓮見徹

ミュージカル『ETERNITY(エタニティ)』は2026年7月10日(金)から7月26日(日)まで東京建物 ぴあ シアター、7月31日(金)から8月1日(土)まで名古屋・御園座、8月8日(土)から8月9日(日)まで大阪・東京建物 Brillia HALL 箕面 大ホールにて上演されます。公式HPはこちら

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Yurika

キャッチーで中毒性の高い音楽の数々に胸が踊りました。日本でもこの素晴らしい音楽が多くの人に聴かれ、広まっていくと良いなぁと願っております…!ブルードットが“愛されたい”と強く願う姿を見て、7月に日本版が開幕するミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』のエヴァンが思い浮かびました。承認欲求というと自意識が高いように捉えられやすいですが、誰もが持つ感情であり、孤独と隣り合わせのようにも思います。愛されたい気持ちや孤独とどう向き合うのかは、人間の普遍的なテーマなのかもしれません。