2026年8月26日(水)から劇団四季が舞浜アンフィシアターで上演するディズニーミュージカル『リトルマーメイド』。舞浜公演の開幕に先駆けて、パペットデザイン・ムーブメントを手掛けたトビー・オリエさんと技術監督の古城博之さんが劇場取材会に登壇し、パペットへのこだわりと劇場に合わせて生まれた新演出について解説しました。
トビー・オリエがパペットのこだわりを解説

「パート・オブ・ユア・ワールド」「アンダー・ザ・シー」など屈指の名曲と共に、地上の世界に憧れる人魚姫アリエルが人間の王子エリックに恋をする夢と冒険の物語が繰り広げられる、ディズニーミュージカル『リトルマーメイド』。日本では2013年4月に初演を迎え、全国8都市、4,000回以上の上演が行われてきました。
首都圏での公演は2017年以来約10年ぶり。本作が上演される舞浜アンフィシアターでは、2022年から約3年半上演されたディズニーミュージカル『美女と野獣』以来2作目の劇団四季作品の上演となります。
ミュージカル『リトルマーメイド』の大きな魅力の1つが、海を彩る魚たちを表現するパペットの数々です。パペットデザイン・ムーブメントを手掛けたトビー・オリエさんは『リトルマーメイド』について「映画として公開された4歳の時から大ファンです。41歳になりましたが、今でも大好きなアニメの映画の1つです。6歳の頃にはパペットを作り始め、8歳の時には段ボールと布地でアースラのパペットを作ったことを今でも覚えています。ですから、美術監督のボブ・クローリーさんにパペットの製作を依頼された時は本当に“夢が叶った”思いでした」と思い入れを語ります。
そしてパペット製作のポイントについて「海の中の世界と、地上の人間の世界の違いを描くこと。人間の世界は、アリエルが本を読みながら夢を描いていた、絵本のような2次元的なビジュアルとなっています。それに対して海の中の世界は、もっと質感があって立体的で、色味がカラフルで、動きがある。そういう世界観を描きたいと考えました。パペットデザイナーとしては、パペットの動きやヒレの動きが空気中ではなく水の抵抗感を感じるような動きを表現したい。そのため、マーメイドのヒレも含めて、シルクの布地で水の流れを表現する工夫をしています」とコメント。

実際に2013年日本開幕時から使用されているエイのパペットを見せながら「シンプルなフラッグ(旗)のような構造になっていて、針金のような金属を通して形を作っています。ワイヤーによってちょっとした立体感が生まれ、この中に内臓があるんだなという雰囲気が分かるようにこだわりました。パペティアがちょっとした動きを働きかけるだけで綺麗な流れが生まれるパペットになっています」と解説します。

続いてタツノオトシゴのパペットについて「大きいビーズの中にゴムが通っていて、非常に軽く、関節を動かすことで水の中での流れを表現できる構造となっています。超カワイイ…!尻尾の部分にはピアノ線が入っていて、流れや揺れるような動きが表現できます。手で動かしている場所だけでなく、チューブのような毛並みなどが自ずと動くようになっています。パペティアが直接動かしていなくても自然と自分から動くようなパペットが好きなのですが、そういった部分が『リトルマーメイド』の海の中を表現するにあたって非常に効果的だと感じています。「アンダー・ザ・シー」のようなナンバーでは全ての生き物がアリエルに対してダンス表現することが求められますので、そういった動きが可能になるようにしています」と愛情たっぷりに語ります。

舞浜アンフィシアターでの上演にあたっては「大規模なスケール感のある劇場です。特に観客席が弓形になっているので、海の中に入り込んでいただきたいと思って色々な工夫をしてまいりました。新たなパペットの1つが、フライングパペットです。これはワイヤーで吊られており、パペティアが操作するパペットではありません。とてもエキサイティングな試みだなと思ったんですけれども、私は人間が手で操作するパペットを専門としていますので、それが出来ないとなった時に色々な挑戦・課題が生じました。なので劇団四季の小道具の“天才チーム”と一緒に、zoomを介して色々な実験を重ね、試作品を作りながら現在に至ることができました。サプライズは取っておきたいので全てをご紹介することはしませんが、おすすめはオープニングで出てくるシルバーフィッシュと呼んでいる魚のパペットと、「恋してる」(She’s in Love)で出てくるハートフィッシュのパペット。とても綺麗ですよ。魚の群れは観客席の中を通りますので、本当に作品の中に入り込むような体験をしていただけると思います」とこだわりを解説。

「13年前に開幕した素晴らしい作品で、また新しいことに探求できる機会を頂けたのは本当に嬉しいことです。今週から稽古に合流していますけれども、細部までしっかりと表現してくださって、素晴らしい表現力で皆さんが臨んでくれています。このプロダクションは今までで一番美しくて、一番インパクトのある作品になるのではないかと思います」と自信をのぞかせました。
全長70mのレールを仕込みフライングパペットを実現

続いて技術監督の古城博之さんが舞浜公演に向けたアップデート内容について解説しました。古城さんは今回の上演におけるコンセプトについて「客席全体を海の世界へ」を掲げていることを明かし、「私は『美女と野獣』でも技術監督を務めさせていただきました。その時は特徴的な劇場で、何とか一般的な箱型の劇場のように上演できないかと考えました。今回は3年半の上演の中で考え方が変わり、劇場の特徴を活かし、作品を劇場に寄り添わせる形で作った方がより効果的ではないかということに気がつきました。今回の『リトルマーメイド』では円形の舞台や客席の特徴を最大限活かそうと考えて製作を行っています」とコメント。

そこで大きな変更が行われたのが舞台の縁にあるプロセニアムアーチです。「客席の形状に合わせて前にせり出すような形に変更し、絵本を見開いたような形状にすることで、ページをめくりながら物語が進んでいく没入感が得られるのではないかと思います。また二重構造にすることで、シーンによって海草カーテンを出し入れしたり、1層目と2層目の間を花道のように俳優が通り抜けたりできるようになっています。さらに舞浜公演では特別にフライングが追加され、より近くで没入感が得られるよう、このプロセニアムを通って円形舞台上にアリエルがフライングを行います」。

またトビー・オリエさんが解説したフライングパペットについては「客席の通路(9列目と10列目の間)上空にあるキャットウォークに全長70mのレールを仕込み、魚が泳ぐ演出を行います。当初は1〜2シーンで出来れば良いなと思いディズニーにプレゼンテーションしたのですが、クリエイターの熱い発想によって様々なシーンで新しくトビーさんにデザインしていただいたパペットが泳ぎ回る演出になっています」と語りました。

取材会では実際にフライングパペットの実演が行われ、トビー・オリエさんおすすめパペットの1つである<ハートフィッシュ>が客席上空を泳ぎ、作品への期待を高めました。

劇団四季 ディズニーミュージカル『リトルマーメイド』は2026年8月26日(水)に舞浜アンフィシアターにて開幕。公式HPはこちら
劇場によって作品に新たな色が加わった『リトルマーメイド』。没入感が高まり、後方席でも楽しみやすいと感じました。本作ではファミリーゾーンも設定されているのでお子さんでも飽きずに、刺激的に作品を楽しんでいただけそうです。



















