年末にかけて忙しい時期ですが、来春の舞台作品のチケットが続々と発売されていますね。今回ご紹介するミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』も注目したい作品のひとつ。世界で愛される名作舞台が俳優・演出家の吉田鋼太郎さんの演出で新たな歴史を刻みます。

ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』とは?

「ブラッド・ブラザーズ」というタイトルの通り、この作品は血の繋がった生き別れの兄弟が歩む、数奇な運命を描きます。

1960年代、ロンドン郊外の貧しい家に生まれた二卵性双生児のミッキーとエディ。エディは裕福な家庭に引き取られ、ふたりは全く違う環境で育てられます。互いが双子であることを知らずに、固い友情を育んでゆく彼ら。家庭の都合で離れ離れになっても、運命は再び双子の絆を結びつけるのでした。

格差社会を生きるミッキーとエディの見えない絆が辿り着く先とは・・・。社会のしがらみを知らない幼少時代と大人になった二人との対比や、彼らを愛する人たちの願いが力強い歌声となって観客に届きます。

本作はロンドンのウエストエンドで1983年に初演されると、ローレンス・オリヴィエ賞の作品賞を受賞。以来、ブロードウェイをはじめ世界中で上演され、観る者の心に何かを残していくドラマチックな物語として、時代を、国境を越えて愛されてきました。

柿澤勇人×ウエンツ瑛二、念願の共演を吉田鋼太郎が初演出

今回、この名作ミュージカルで双子を演じるのは、柿澤勇人さん(ミッキー役)とウエンツ瑛二さん(エディ役)。どことなく顔の雰囲気が似ているふたりですが、共演は今回が初めて。「この作品のミッキーという役をやりたいと言い続けて10年ほど」(※)という柿澤さんと、イギリス留学でパワーアップしたウエンツさんが起こす化学反応に注目が集まります。

彼らと運命を共にする幼なじみのリンダ役を木南晴夏さん、そして彼らが双子であるという事実を握るそれぞれの母親役を堀内敬子さんと一路真輝さんが演じます。出生の秘密を隠して息子たちと向き合うミッキーの母親役のミュージカルナンバーは本作の見どころ。堀内さん演じる双子の生みの母親が高い歌唱力で物語を引っ張っていってくれそうです。

1991年の日本初演以来、『ブラッド・ブラザーズ』の演出を担当してきたのはイギリス人演出家のグレン・ウォルフォードさんでした。今回、グレンさんに代わり日本版演出を受け継いだのは、俳優・演出家の吉田鋼太郎さん。『ブラッド・ブラザーズ』には日本初演から3度出演されており、出演者として、グレンさんやスタッフとともに日本版演出の立ち上げに携わりました。ドラマ性の高い台本だからこそ、故・蜷川幸雄さんから彩の国シェイクスピア・シリーズを引き継ぎ、演出家としても活躍の幅を広げる吉田さんがどのように演出していくのかが楽しみです。

Sasha

『ブラッド・ブラザーズ』東京公演は来春2022年3月21日(月祝)~4月3日(日)東京・東京国際フォーラム ホールCにて上演。その後、愛知、久留米、大阪でのツアー公演が予定されています。2021年12月22日(水)より一般前売開始。名作ミュージカルの新たな一歩をお見逃しなく。