芝居やミュージカルと併せてショーも楽しめるところが、宝塚歌劇団の醍醐味だといえます。物語の世界にたっぷりと浸った後、幕間を挟んで始まるのは、歌とダンスによる華やかな舞台です。次々と切り替わるシーンの演出に心奪われ、あっという間に時間が経ってしまったと感じるかもしれません。1公演で2つの表情を魅せてくれる宝塚歌劇。今回は、ショーの特徴と見どころに迫ります。

宝塚歌劇団のショーとは?レビューとどう違うの?

宝塚歌劇団の公演の多くは、芝居とショーの2本立て。ショーのサブタイトルには「レビュー」という言葉がよく使われます。ショーとレビューには、何か違いがあるのでしょうか?

そもそもレビューとは欧米で流行した演劇スタイルであり、1年間の振り返りを題材としていました。日本では、1927年に宝塚歌劇団で上演された『モン・パリ〜吾が巴里(パリ)よ!〜』が、最初のレビューといわれています。今や名物となった団員のラインダンスや大階段は、この時に生まれたそう。宝塚歌劇団の伝統的な演出は、レビューが原点だったといえます。

演出家の岡田敬二氏によると、「レビューとショーに明確な違いはない」とのこと。その上で、レビューは「時代劇」、ショーは「現代劇」であると語られています。クラシックな衣装や振り付けで歴史を振り返るレビューと、トレンドを追いかけて自由に歌い踊るショー。どちらも、歌とダンスで観客を楽しませてくれるという本質は変わらないわけですね。

宝塚歌劇団のショーはここがすごい!

宝塚歌劇団のショー・レビューには、“タカラヅカらしさ”が凝縮されています。同時上演される芝居の雰囲気や、各組の個性を反映させた世界観は、ここにしかないもの。場面ごとに出演者が入れ替わるので、トップスターだけでなく、組員一人ひとりの動きに注目できます。

男役の力強い振り付けや独特の掛け声にときめいたり、娘役の優雅な動きと衣装の美しさに見惚れたりと、ショーの見どころは満載。場面展開と共に舞台装置もガラリと変わり、「次は何を見せてくれるんだろう?」と、わくわくが止まりません。

また、トップコンビによる息の合ったデュエットダンスは必見です。新人たちのフレッシュさが光るラインダンスも、ぜひ手拍子で迎えてみてください。さらに、全組員が大階段を軽やかに降りてくるパレードのシーンは、圧巻されること間違いなしです。ラストには羽飾りを背負ったトップスターが登場し、感動を深めてくれますよ。

ショータイムで歌とダンスのフルコースを味わおう

宝塚歌劇団のショーは、まさに歌とダンスのフルコース。トップコンビを中心に組全体がひとつとなり、観客を夢の世界へ連れて行ってくれます。好きな団員の登場シーンを目に焼き付けるも良し、新たに心惹かれる組メンバーを探すも良し。宝塚歌劇団ファンにとって、芝居はもちろん、ショーも至福のひと時ではないでしょうか。また、目と耳で直接舞台のエネルギーを感じられるからこそ、観劇初心者の方にもおすすめです。宝塚歌劇団で、とことん華やかに輝くショータイムを堪能してくださいね。

もこ

「2本立ての舞台ってヘビーかも」と思っていた筆者ですが、それは全くの杞憂でした。お芝居に魅了された後にやってくる、贅沢なエンターテインメントの空間。宝塚歌劇団のショーは、感動と興奮を刻み込んでくれる“最高の締めくくり”です。ぜひ一度ご覧あれ!