映画『ぐるりのこと。』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝き、数々の作品で独自の存在感を示す木村多江さん。そんな木村さんが主演を務めるのが、2026年7月3日(金)から上演される紀伊國屋書店創業100周年記念公演『わたしの書、頁(ページ)を図る』です。
劇作家・演出家の小沢道成さんが「僕の頭にはずっと木村多江さんの姿が浮かんでいました」と出演を熱望した本作は、「静かな図書館を舞台にした“華やかな”物語」という構想から誕生したオリジナルストーリーです。
木村多江主演・図書館を舞台にした“華やかな”物語

『わたしの書、頁を図る』は、トラウマを抱え孤独に生きてきた図書館職員が、個性豊かな利用客たちと出会い、日常を少しずつ変えていくヒューマンエンターテイメントです。
演劇という華やかな芸術と、図書館という静かな場所。この異なるふたつが交わった時、どのような物語が生まれるのでしょうか。
映像作品への出演イメージの強い木村さんですが、実は『ヴェニスの商人』や朗読劇『ラヴ・レターズ LOVE LETTERS~2014 24th Anniversary~』など舞台作品への出演経験も豊富です。2015年にはひとり芝居『エンドロール』が上演され、演劇においてもさまざまな挑戦を続ける姿が印象的です。
木村さんは会場である紀伊國屋ホールについて「幾度となく芝居を観た、私の人生のページを作った場所」と愛情溢れるコメントを寄せています。
町子の運命を大きく動かしていく自主映画監督・岸口慶太役を演じるのは、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』やNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』などで知られる味方良介さん。そのほか光嶌なづなさん、中井智彦さん、坂口涼太郎さん、猫背椿さんといった多彩なキャストが図書館の常連利用客を演じます。
小沢道成の脚本・演出、オレノグラフィティの音楽が織りなす舞台
『わたしの書、頁を図る』の演出・脚本・美術を務めるのは、破竹の勢いで活躍する小沢道成さんです。
小沢さんは鴻上尚史さん主宰「虚構の劇団」の劇団員として俳優のキャリアを積み、2022年解散公演まで同劇団に所属していました。自ら主宰する演劇プロジェクト「EPOCH MAN」で、脚本・演出・美術・企画制作までほぼすべてを手がける稀有なクリエイターです。
2021年に『オーレリアンの兄妹』が第66回岸田國士戯曲賞最終候補作品に選出され、2023年には『我ら宇宙の塵』が第31回読売演劇大賞で3部門を受賞しました。その後、2025年には『しばしとてこそ』で新国立劇場小劇場に進出するなど、今最も存在感を放つ演劇人のひとりです。
そして本作の魅力をさらに引き立てるのが、ミュージカル『ナビレラ』などを手がけてきたオレノグラフィティさんによる音楽です。過去には小沢さんと『漸近線、重なれ』でタッグを組んだこともあり、今回も期待が高まります。
また、作中では出演者自身による歌唱や生演奏が披露されることが明かされています。小沢さんが描く”華やかな”図書館の正体を、ぜひ劇場で目撃してください。
紀伊國屋書店100周年。“書”と“演劇”の歴史が交わる節目の公演
本作品は、紀伊國屋書店100周年記念公演として銘打たれています。前述した「静かな図書館を舞台にした“華やかな”物語」という構想は、記念公演のコンセプトにぴったりではないでしょうか。
なぜなら、紀伊國屋書店は本を売る場所に留まらず、日本の演劇の発展を後押ししてきた歴史を持つからです。
その歴史は1927年1月に始まりました。創業者である田辺茂一氏が個人営業を始めた「紀伊國屋書店」は、当時木造2階建て、38坪の店舗でした。書店の階上にはギャラリーを併設し、同人誌、文芸誌、文学書や芸術書などを中心としたラインナップで、他の書店との差別化をはかりました。
1945年5月に戦災により店舗が焼失しましたが、同年12月に焼け跡にバラックを立てて営業を再開。2年後の1947年には、延床面積181坪の店舗を新築し「戦後書店建築の白眉」と評価されるほどでした。
1963年、地上9階、地下2階からなる紀伊國屋本社ビルが竣工しました。その際に誕生したのが、さまざまな演劇や落語などを上演する紀伊國屋ホールでした。
そして1965年に「紀伊國屋演劇賞」を創設。受賞者には三島由紀夫や安部公房など、優れた演劇人の名前が並びました。
これまで紀伊國屋ホールでは、さまざまな名作が上演されてきました。本と人が出会う図書館という場所で主人公の人生が動き出す『わたしの書、頁を図る』は、まさに書店創業100周年という節目にふさわしい演目となることでしょう。
紀伊國屋書店創業100周年記念公演『わたしの書、頁を図る』は、2026年7月3日(金)から19日(日)まで、東京・紀伊國屋ホールにて上演されます。チケット情報や上演スケジュールなど、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
図書館と劇場は一見正反対のように思えて、実はどちらにも「物語」が必要不可欠ですよね。書店と劇場が同じ建物に共存する紀伊國屋。そこで上演されるのにふさわしい作品だと感じました。



















